ヒト iPS 細胞から腎臓の発生過程を忠実に再現し、トランスクリプトミクス時計を用いて各発生段階の生物学的年齢を測定した。その結果中間中胚葉期に生物学的年齢が最小となる点が存在することを発見した。また主成分分析により発生過程が加齢とは異なる2つの過程から構成されていること、初期化関連遺伝子と加齢関連遺伝子の関与が示唆された。さらに腎発生過程では若返りが起こり、ROS、TNF、p53経路が関与していることが明らかになった。本研究はヒト腎臓の老化の始まりとメカニズムを解明し新たな抗老化戦略の開発に繋がる可能性を示した。本研究の知見は発生と老化の関係性の理解を深め、健康長寿の実現に向けた基盤となる。
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