研究課題/領域番号 |
22K15355
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
野崎 香菜子 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10814329)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | HAP1 / stigmoid body |
研究実績の概要 |
細胞内封入体である斑点小体(Stigmoid body: STB) とその主要構成分子Huntingtin-associated protein 1(HAP1)はポリグルタミン病に対して細胞保護作用を有する。しかし、STB/HAP1の保護作用がポリグルタミン病以外の神経変性疾患に対しても有効であるかは不明である。そこで、本課題ではポリグルタミン病とは異なる病態基盤をもつパーキンソン病に対してSTB/HAP1の細胞保護作用が有効か明らかにすることを目的とする。さらにSTB/HAP1の細胞保護作用がより増強されることが期待されるmutant-HAP1を作製し、より効果的な治療方法の構築に挑む。 本課題ではまず、MPTPを投与によりパーキンソン病モデルマウスを作製し、脳内に存在するドーパミンニューロンにおけるSTBおよびHAP1(STB/HAP1)の発現率を野生型マウスと比較した。また、HAP1ヘテロ欠損マウスを用いて、STB/HAP1の発現量が低下したマウスにおけるMPTP投与の効果についても検討を行った。 一方で、MPTPモデルではパーキンソン病の病理組織で見られるレビー小体が認められないことが多いことが知られている。そこで、確実にレビー小体様構造体(もしくはαシヌクレインの細胞内蓄積)が確認されるモデルの導入も行い、STB/HAP1との共局在の有無について解析している。さらには、我々が独自に作製した部位特異的HAP1過剰発現マウスにTH-creマウスを掛け合わせたカテコールアミンニューロン特異的HAP1過剰発現マウスの作出・解析も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生型マウスのドーパミンニューロンにおけるSTB/HAP1の発現分布を明示し、加えてパーキンソン病モデルにおいて残存するドーパミンニューロンは優先的にSTB/HAP1を有することを明らかにすることができた。またHAP1ヘテロ欠損マウスを用いての解析も既に着手し、予備的な結果ではあるが、興味深い知見を得ている。 さらには、パーキンソン病モデルの別モデルとして、αシヌクレイン投与モデルの立ち上げについても完了した。次年度はこのモデルについても同様に解析し、STB/HAP1との関係性を精査していく。
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今後の研究の推進方策 |
HAP1ヘテロ欠損マウスにおけるMPTP投与モデルに対する解析をさらに進めると共に、新たに導入したαシヌクレイン投与モデルとSTB/HAP1の関係性について組織学的解析を行う。具体的には、ドーパミンニューロンに蓄積したαシヌクレインの集合体(レビー小体)とSTB/HAP1の共局在の有無について調べる。 加えて、我々が独自に開発したカテコールアミン産生ニューロン特異的HAP1過剰発現マウスにおいても同様に解析を進め、パーキンソン病モデルマウスにおけるSTB/HAP1の細胞保護効果の有効性について検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の培養細胞実験および組織学実験の実施のためのシャーレやウェルプレート、試薬を計上していたが、予定より順調に結果を得ることができたことから、予定より低額の出費となり、未使用額が生じた。この未使用額は次年度に計上するプラスチック製消耗品の購入費と併せて使用する。
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