研究課題/領域番号 |
22K15363
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
小西 弘晃 旭川医科大学, 医学部, 客員助教 (30777181)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | プロバイオティクス / 抗腫瘍分子 / 小児白血病 |
研究実績の概要 |
乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスはヨーグルトなどの発酵食品に含まれるヒトに有益な作用をもたらす微生物である。私はプロバイオティクス由来抗腫瘍分子のスクリーニングを実施することにより、乳酸菌由来Ferrichromeや麹菌由来Heptelidic acidが非腫瘍細胞には低毒性かつ消化器癌細胞に対して強い抗腫瘍作用を発揮することを突き止めた。さらに、予備的検討からプロバイオティクス由来抗腫瘍分子を癌治療に応用するためには癌腫の性質に合わせた抗腫瘍分子のスクリーニングが必要であることを見出した。本研究では、希少がんであるため新薬開発が遅く、また、治癒後の長期生存が望めることから高い安全性が求められる小児白血病を対象にプロバイオティクス由来抗腫瘍分子を作用させその抗腫瘍効果を検証した。麹菌の培養上清より同定したHeptelidic acidは小児B細胞性およびT細胞性急性白血病モデル細胞において強い増殖抑制作用を発揮した。また、Heptelidic acidを処置した白血病細胞ではプログラム細胞死が誘導されていた。Heptelidic acidの持つ抗腫瘍作用は既存抗癌剤であるビンクリスチンやドキソルビシンと相加・相乗的に作用した。in vivo細胞株移植モデルおよび患者細胞移植モデルにおいてHeptelidic acidは重篤な有害事象を引き起こすことなく抗腫瘍効果を発揮した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロバイオティクス由来抗腫瘍分子であるHeptelidic acidがin vitroおよびin vivo白血病モデルにおいて抗腫瘍効果を発揮することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
Heptelidic acidが小児白血病細胞に対してどのようなメカニズムで細胞死を誘導しているのかを明らかにする。
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