研究課題
申請者は直鎖状ユビキチン鎖(直鎖)を生成することで免疫細胞の活性化に重要な役割を果たす複合体ユビキチンリガーゼLUBACが、全身性エリテマトーデス(SLE)とシェーグレン症候群(SS)の発症に関わることを明らかにした。LUBACが特異的に生成する直鎖状ユビキチン鎖はNF-kappaBを活性化することで免疫応答に中核的に機能するシグナル伝達系である。申請者は近年LUBACのサブユニットであるHOIL-1Lの酵素活性を阻害することでLUBACの機能が亢進することを見出し、報告していた(Fuseya et al, Nat. Cell. Biol. 2020)。LUBACの機能亢進はNF-kappaB活性化を介して免疫細胞の活性化につながること、並びに免疫細胞の活性化は自己免疫疾患の発症に寄与することが知られていることから、LUBACの機能亢進と自己免疫疾患との関連を解析すべく着手した。申請者はマウスにおいてHOIL-1L酵素欠損がLUBACによる直鎖状ユビキチン鎖の生成亢進を介してSLE及びSS様症状を発症すること、さらにヒトにおいてLUBAC活性を亢進させるHOIL-1L遺伝子の1塩基変異(SNV)が SLE 患者群に有意に集積するSLEの疾患感受性遺伝子であることを同定した。本成果は直鎖状ユビキチン鎖の生成亢進による炎症シグナルの活性化がSLEの発症に繋がる可能性を示す結果であり、今後LUBACを標的としたSLE治療薬の開発を期待する(Fuseya et al, JCI Insight 2024)。
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JCI Insight
巻: 9(3) ページ: -
10.1172/jci.insight.171108
Acta Neuropathologica
巻: 147 ページ: -
10.1007/s00401-024-02698-x
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-02-09-0