研究実績の概要 |
今年度は混合型小細胞肺癌と純型の小細胞肺癌の症例抽出と臨床病理学的因子の再評価、免疫組織化学による解析を行った。 各癌腫成分の分化、神経内分泌形質、遺伝子異常に関連したタンパク発現を確認するため、非小細胞肺癌の分化に関連する抗体(TTF1, Napsin A, p40, CK5/6)、神経内分泌形質に関連する抗体(INSM1, ASCL1, Chromogranin A, Synaptophysin, CD56)、小細胞肺癌の遺伝子異常に関連する抗体(p53, RB, p16)を用いて免疫組織化学染色を行った。大部分の小細胞肺癌は、p53およびRBが変異パターンの染色性を示し、過去に報告された遺伝子異常と合致する結果であった。一方で、小細胞肺癌成分と非小細胞肺癌成分とでは遺伝子異常の違いを示唆する結果が得られており、予後や臨床病理学的特徴の相違について解析を進めている。 また、近年、小細胞肺癌はASCL1, NEUROD1, POU2F3, YAP1の4つの転写因子・転写共役因子でサブタイプ分類できることをRudinらが報告し、受け入れられつつある。混合型小細胞肺癌と純型の小細胞肺癌との間で、これらの発現に差があるかを免疫組織化学染色により解析する準備を進めている。今後は、並行して行っている次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子変異解析の結果も踏まえ、タンパク発現解析を進めていく予定である。
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