研究課題/領域番号 |
22K15404
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大谷 真紀 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (40837077)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 / 自然退縮 / EBウイルス |
研究実績の概要 |
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)には、病理組織学的にも遺伝学的にも明らかに悪性と考えられる特徴を示しながら、 MTX投与中止のみで自然退縮する症例が見られる。病理組織学的診断から予測される病態予後と相違が生じており、MTX-LPDが自然退縮する生物学的機序の解明が求められている。本研究では、MTX-LPDの自然退縮と関連する生物学的特徴を解明するため、1)パラフィンブロックを用いた免疫組織学的解析、2) Epstain-Barrウイルス(EBV)を感染させたリンパ芽球様細胞株(EBV-LCL)を用いたエピジェネティックな変化について解析する予定とした。 2022年度は、MTX-LPD病理組織標本を用いて5-hmCの免疫染色を行い、腫瘍細胞における免疫組織学的発現の頻度を検討した。腫瘍細胞の 5-hmC陽性率は約 4.8%~95%であった。また、背景の非腫瘍性リンパ球については、自然退縮群では非退縮群と比較して CD8陽性細胞の割合が高い傾向が見られたが、CD4の免疫染色では陽性細胞数のカウントが可能な染色結果が得られなかったことから、再度免疫染色の条件検討を行い、今後は良好な染色の得られた他クローンを用いることを決めた。CD56などの分化抗原や Foxp3などの核内転写因子、細胞傷害性 T細胞に発現する PD-1, その他の細胞傷害性因子などについては、免疫染色の条件検討を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パラフィンブロックを用いた免疫組織学的解析については、症例収集、免疫染色の条件検討をほぼ終了し、順次症例の組織標本を用いた染色と結果の解析を進めることができた。EBV-LCLを用いた細胞培養実験と解析については、2022年度は新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、実験室での長期培養計画の立案がしがたく、当初の計画より遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
パラフィンブロックを用いた免疫組織学的解析については、2022年度に引き続き、条件検討終了した抗体から、順次症例の染色と結果の解析を進めていく。EBV-LCLを用いた細胞培養実験については、EBV-LCLに複数回の細胞傷害を加えながら長期培養を行い、後の解析のため培養細胞試料は凍結保存していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額については、細胞培養実験の計画の遅れにより生じた。今後培養実験を進めるにあたり、翌年度分と合わせて細胞培養に必要な消耗品などの購入に充てる予定である。
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