研究実績の概要 |
硝子血管型単中心性キャッスルマン病(HV-UCD)の凍結保存リンパ節検体(4例)について、反応性リンパ節過形成の凍結保存リンパ節検体(10例)を対照として全トランスクリプトーム解析にて発現変動遺伝子(DEGs)およびPathway解析を行った。 DEGs解析では、immunoglobulin superfamily member 1(IGSF1)、濾胞樹状細胞(FDC)細胞に発現する遺伝子(FDCSP, CXCL13, CLU, CSTAなど)、補体関連遺伝子(C3,CD2など) 、血管新生因子(PGF)、TGFB1I1などの遺伝子の有意な発現亢進がHV-UCDにおいて認められた。Pathway解析では、血管新生、細胞接着、組織構築などに関わるPathwayの亢進がHV-UCDにおいて検出された。 FDCに関連する遺伝子の発現亢進については、組織学的な特徴(dysplastic FDCの出現)と併せ、HV-UCDの病態にFDCが深く関与していることを示唆する結果であった。 血管新生に関わる遺伝子のうち、placenta growth factor(PGF)の発現がHV-UCDで特徴的であると考えられた。PGFやTGFβなどは線維芽細胞の増殖に関連することも知られ、HV-UCDに特徴的な線維の硝子化に関連している可能性も考えられ、さらなる検討に繋げていく。
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