研究実績の概要 |
皮膚悪性腫瘍のメルケル細胞癌(MCC)は、約80%でメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)により発癌する。申請者は、、MCCの腫瘍病態を遺伝子変異、遺伝子発現前のエピゲノム異常、タンパク発現・修飾異常にいたる一連の流れを体系的に明らかにしてきた。近年は、腫瘍微小環境に着目し、腫瘍間質におけるIndoleamine 2,3-dioxygenase-1(IDO1)発現が予後不良因子であること、腫瘍細胞においてはMCPyV陽性例と陰性例とでIDO1発現パターンが異なることを明らかにしている。 本年度は、T cell immunoreceptor with immunoglobulin and ITIM domains(TIGIT)/CD155免疫チェックポイント経路、制御性T細胞マーカーであるFOXP3に特に着目した腫瘍微小環境の解析を行った。 メルケル細胞癌病理組織検体および公開RNA-seqを用いて解析した。 免疫染色で各種免疫チェックポイント分子の発現と浸潤する免疫細胞の局在について腫瘍中心部と腫瘍辺縁部に分けて解析を行った。 まず通常、免疫細胞に発現する免疫チェックポイント分子Xがメルケル細胞癌においてAberrantに発現することを見出し、これらが治療標的となりうることを明らかにした。 また、分子Yを発現する免疫細胞の数は、腫瘍辺縁部に中心部よりも多く認められ、浸潤が多いことは予後良好因子であることを見出した。
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