研究課題
子宮体がんを中心とした婦人科がんにおいて、多数例に対してER、PgR、TP53、TTF-1、GATA3、AFP、HER2、PD-L1、ARID1Aの免疫組織化学的染色を施行した。ER、TP53、TTF-1、GATA3の免疫組織学的パネルによってmesonephric-like adenocarcinomaを抽出し、それらが低異型度内膜癌に比して有意に脈管侵襲、深い筋層浸潤、短い無病生存期間と全生存期間を示すこと見出し、mesonephric-like adenocarcinomaは高異型度内膜癌に近い臨床的態度をとることと考えられた。またAFPの免疫組織化学に関連して、明細胞形態を有した子宮頸癌が、AFPを産生する胃型腺癌と考えられた症例を経験し、Immunohistochemical and molecular analysis of an α-fetoprotein-producing cervical adenocarcinoma with clear cell morphology. Kuriyama S, Yano M, et al. Med Mol Morphol. 2023 Mar;56(1):20-27.として報告した。またPD-L1の免疫組織化学に関連して多施設共同研究にて、Clinicopathological features and programmed death-ligand 1 immunohistochemical expression in a multicenter cohort of uterine and ovarian melanomas: a retrospective study in Japan (KCOG-G1701s). Yano M, et al. Melanoma Res. 2022 Jun 1;32(3):150-158.を報告した。
2: おおむね順調に進展している
免疫組織化学的解析が順調に進行している。
免疫組織化学的解析は多数の分子で進行中である。今後はスコアリングと臨床病理学的所見との相関解析を進める。特にTP53とHER2を中心として予後との相関と分子標的薬における治療選択のバイオマーカーとしての意義を検証したい。
免疫組織化学の条件設定が順調に進んだことで、条件設定実験に必要と見込んでいた抗体や免疫組織化学関連消耗品の購入費用が想定よりも少なくて済んだ。次年度も様々な分子の免疫組織化学を条件設定から本染色へと実行する使用計画とする。得られたデータの染色スコアリングや統計解析も進んでいるので、学会や論文発表に関連した費用も次年度使用計画とする。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
Melanoma Research
巻: 32 ページ: 150~158
10.1097/CMR.0000000000000811
Medical Molecular Morphology
巻: 56 ページ: 20~27
10.1007/s00795-022-00336-7