研究課題/領域番号 |
22K15409
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
矢野 光剛 大分大学, 医学部, 助教 (70817064)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / 免疫組織化学 / ホルモン受容体 / TP53 / HER2 |
研究実績の概要 |
子宮体癌では従来ホルモン依存性のI型と非依存性のII型、さらに組織形態による組織型や組織学的異型度に分けられていたが、現在は網羅的遺伝子解析による分子分類が提唱されつつある。ただし、分子分類はコスト面から本邦も含めて世界的に普及したとは言い難い。我々は組織型と免疫組織化学的発現を加味した簡便な分類を探索している。子宮体癌において、約500例のホルマリン固定パラフィン標本を用いて複数の候補分子について免疫組織学を行った。現在、p53、HER2、estrogen receptor、progesterone receptor、ARID1A、PD-L1、LAG-3、TTF-1、GATA3などの免疫染色とその評価をおえている。特にHER2については、高異型度子宮体癌で発現頻度が高く、深い腫瘍浸潤や短い生命予後と統計学的有意に相関していた。さらにHER2とp53の異常発現は、早期子宮体癌(stage I/II)における独立予後因子となった。これらの研究成果は、第113回日本病理学会総会で発表し、アワードを獲得した。現在は論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮体癌において、約500例のホルマリン固定パラフィン標本を用いて大規模な免疫組織学的発現調査を行っている。現在、p53、HER2、estrogen receptor、progesterone receptor、ARID1A、PD-L1、LAG-3、TTF-1、GATA3などの免疫染色とその評価をおえている。特にHER2については、高異型度子宮体癌で発現頻度が高く、深い腫瘍浸潤や短い生命予後と統計学的優位に相関していた。さらにHER2とp53の異常発現は、早期子宮体癌(stage I/II)における独立予後因子となった。HER2については薬物抗体複合体による治療が今後普及する可能性がある。それを踏まえて本研究も従来のHER2過剰発現だけでなく、低発現も含めた症例の臨床病理学的特徴を追求したい。
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今後の研究の推進方策 |
現在までにp53、HER2、estrogen receptor、progesterone receptor、ARID1A、PD-L1、LAG-3、TTF-1、GATA3などの免疫染色とその評価をおえている。さらに関連因子(CD8、CD4、CD10、Ki67など)の染色と評価を行うとともに、HER2についてはFISHによる増幅の有無も評価する。最終的にはそれらを統括した最も効率的な予後予測や治療判断が可能な子宮体癌の分類を提案したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫組織化学的染色が予測より順調に進んだため、消耗品コストが抑えられた。しかしながら、今後追加する予定の免疫組織化学は条件設定がより難しいことが予測されるため、次年度使用額は消耗品として主に使用する。また論文発表や学会発表必要な英文校正費、論文掲載料、旅費にも割り当てる。
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