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2022 年度 実施状況報告書

組織プロセッサー(密閉式自動固定包埋装置)内の薬液が核酸品質に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 22K15411
研究機関北海道医療大学

研究代表者

丸川 活司  北海道医療大学, 医療技術学部, 講師 (20835508)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードFFPE組織における核酸品質管理
研究実績の概要

北海道内の病理検査実施施設である55施設を対象とし、FFPE組織作製工程時に用いられる組織プロセッサー機器の運用方法について実態調査を行った結果、回収率は65%で36施設から回答が得られた。組織プロセッサー機器内で脱水剤として使用されている薬液は、脱脂効果があるエタノールが32施設(89%)で、組織への浸透速度が速いメタノールを使用している施設が4施設(11%)であった。また、脱アルコール・パラフィン置換剤の薬液には、パラフィンとの親和性が強いキシレンを使用している施設が33施設(91%)と大多数で、組織への浸透速度が速いクロロホルムを使用している施設は1施設(3%)であった。
ヒト大腸癌細胞株(CACO-2)を用いてアルギン酸ナトリウム法でセルブロックを作製し、北海道大学病院病理部で日常業務に使用している組織プロセッサー(Tissue-Tek VIP5Jr)内の脱水剤であるエタノール槽の中でも最も混濁した薬液を用いてFFPE組織ブロックを作製し、核酸品質について検討を行った。未使用エタノールを使用した群と汚染されたエタノールを使用した群のt検定で、p値は0.074と統計学的な有意差は認められなかったが、未使用エタノールのDIN値平均が3.7、汚染エタノールのDIN値平均が2.9と汚染エタノールで作製されたFFPE組織の核酸品質に低下傾向が認められた。組織プロセッサーに用いる脱水剤や脱アルコール・パラフィン置換剤の薬液使用量が多いため、ランニングコストからも、使用後毎回薬液をすべて交換している施設は殆どなく、薬液の交換頻度やタイミングに関しても明確な基準がない。脱水剤の汚染がFFPE組織の核酸品質低下に影響する可能性を考えると、日常業務で用いる組織プロセッサー内の薬液の種類や浸漬時間、交換頻度等に関する精度管理方法について標準化を進めていかなければならないと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

北海道内の病理検査実施施設である55施設を対象とし、FFPE組織作製工程時に用いられる組織プロセッサー機器の運用方法についてGoogle formを用いて実態調査を行った結果、脱水剤、脱アルコール・パラフィン置換剤の交換頻度において標準化されていないことが明らかとなった。この結果から、薬液の汚染状況が核酸品質にどれくらい影響があるのかを再検討している。

今後の研究の推進方策

ヒト扁平上皮癌細胞株(HO-1-u-1)を用いて遠心管法でセルブロックを作製し、北海道大学病院病理部で日常業務に使用している組織プロセッサー(Tissue-Tek VIP5Jr)内の脱水剤であるエタノール槽の中でも最も混濁した薬液を用いてFFPE組織ブロックを作製し、核酸品質における再検討を行っている。今後、更に脱水剤中に混濁している成分に関して解析し、その成分がFFPE組織ブロックにおいてどの様に影響しているのかを検討していく。

次年度使用額が生じた理由

日本病理学会に参加予定であったが、コロナ禍であったことから出張を控えたため、次年度に繰り越した。今年度は日本病理学会、日本臨床細胞学会等に積極的に参加し、成果発表、情報収集に努める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 体腔液検体の取り扱い方と特徴的細胞所見の捉え方2023

    • 著者名/発表者名
      丸川活司
    • 学会等名
      第59回東北臨床細胞学会学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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