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2022 年度 実施状況報告書

肺高悪性度神経内分泌癌におけるYAP1発現の臨床病理学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K15418
研究機関筑波大学

研究代表者

松岡 亮太  筑波大学, 医学医療系, 講師 (70833804)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード高悪性度神経内分泌癌 / 小細胞癌 / 大細胞型神経内分泌癌 / YAP1
研究実績の概要

本研究ではまず肺癌切除検体 (SCLC:38例, LCNEC:46例)を用いASCL1, POU2F3, YAP1, p40, TTF1, NEマーカー (CD56, synaptophysin, chromograninA)の免疫染色を行った (NEUROD1のみ抗体の不具合で染色未)。腫瘍をASCL1高発現群, POU2F3高発現群, YAP1高発現群, triple-negative群 (NEUROD1陽性群が多数入ってくるものと思われる)の4つのグループに分類し臨床病理学的関係を解析した。その結果SCLCではASCL1高発現群28例 (74%), POU2F3高発現群9例 (24%), YAP1高発現群1例 (2%), LCNECではASCL1高発現群25例 (55%), POU2F3高発現群7例 (15%), YAP1高発現群12例 (26%), triple-negative群2例 (4%)であった。SCLC/LCNECともにASCL1高発現群がNEマーカー高発現なのに対し、POU2F3高発現群ではNEマーカーが減弱していた。SCLCではYAP1高発現群は少なく、YAP1の発現は陰性か一部の症例に散在性に陽性となるのみであった。LCNECではYAP1高発現群以外にも腫瘍内で陽性部が多くみられた。それぞれのグループ間で予後に有意差はみられなかった。
さらに小細胞癌細胞株16株、およびCancer Cell Line Encyclopediaで公開されている小細胞癌細胞株50株を用い、これらを上記4つのグループに分類しそれぞれの遺伝子発現、コピー数変化、遺伝子変異を解析した。その結果4つの因子と相関して増加あるいは減弱するような因子を複数抽出することができた。この中には神経内分泌分化に関わるものや細胞の増殖に関するものも含まれている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

検体のリクルートからHGNECを分類するための多数の免疫染色および臨床病理学解析はおおむね完了している。細胞株を用いた解析からいくつか興味深い因子も抽出できている。

今後の研究の推進方策

細胞株の解析により抽出された因子の解析を進めるため、切除検体で免疫染色を再度行い4つのグループとの関連や臨床病理学関係を検討する。
in vitroの実験も導入し、細胞株を用いてASCL1, NEUROD1, POU2F3, YAP1および上記で抽出された因子をノックアウト/強制発現させ、神経内分泌因子の変化、免疫応答因子の変化、細胞の生存、増殖、浸潤能等の変化、薬剤感受性などを解析する。

次年度使用額が生じた理由

公開データセットを利用することでRNA-seqやゲノム解析にかかる経費を削減できた。
現在までの研究の結果YAP1以外にもHGNECに関する興味深い因子が多数抽出できており、これらの因子に対する免疫染色や細胞株を用いた実験を行う予定であり、これらの解析にかかる経費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular Subtypes of High-Grade Neuroendocrine Carcinoma (HGNEC): What is YAP1-Positive HGNEC?2022

    • 著者名/発表者名
      Hitomi Kawai, Ryouta Matsuoka, Takeshi Ito, Daisuke Matsubara
    • 雑誌名

      Frontiers in Bioscience-Landmark

      巻: 27 ページ: 108

    • DOI

      10.31083/j.fbl2703108

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Determining Whether YAP1 and POU2F3 Are Antineuroendocrine Factors2022

    • 著者名/発表者名
      Ryota Matsuoka, Hitomi Kawai, Takeshi Ito, Daisuke Matsubara
    • 雑誌名

      Journal of thoracic oncology

      巻: 17 ページ: 1070-1073

    • DOI

      10.1016/j.jtho.2022.07.001

    • 査読あり
  • [学会発表] Immunohistochemical analysis of high-grade neuroendocrine carcinoma (HGNEC) in lung2023

    • 著者名/発表者名
      朝山慶, 松岡亮太, 松原大祐
    • 学会等名
      第112回日本病理学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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