研究課題/領域番号 |
22K15421
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
児玉 真 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60844529)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Crohn病 / リンパ管内抗原提示細胞 |
研究実績の概要 |
Crohn病(CD)は原因不明の炎症性腸疾患である。リンパ管内類上皮細胞/肉芽腫はCDの病態形成に関連するとされており、また一方CDでは、自然免疫/獲得免疫の異常な活性化がみられる。そこで申請者は自然免疫/獲得免疫の活性化を促すパターン認識受容体(PRRs)に注目し、PRRsを介した免疫反応がCDにおける異常な自然免疫/獲得免疫の活性化に関連するとの仮説を立てた。本研究ではCD腸管手術検体を用い、リンパ管内類上皮細胞/肉芽腫における、各種PRRsの発現の解析およびそのリガンドの同定、さらにPRRsを介して誘導されるサイトカインをはじめとする分子の解析を行う。 2022年度においては、まずリンパ管内類上皮細胞に発現しているPRRsの解析を行うための検体の選定を行なった。CD症例において、リンパ管内類上皮細胞が十分に含まれる検体と、コントロールとして潰瘍性大腸炎および炎症性腸疾患以外の症例でリンパ管内に組織球様の細胞が含まれる検体、それぞれ5症例を選定した。これらの症例において、リンパ管内の細胞がリンパ組織へと向かう抗原提示細胞であることを確認するためにCD11c(抗原提示細胞マーカー)およびD2-40(リンパ管内皮のマーカー)のカクテル染色を行い、リンパ管内に解析に十分な数の抗原提示細胞が存在することを確認した。さらにRNA in situ hybridizationによる解析の予備的解析(CCR7,およびCD11c)を行い、画像解析ソフトHALOによる定量的な評価が行える環境を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者およびその家族が、Covid 19に罹患した。そのため研究だけでなく、その他の業務にも多大な支障をきたした。さらに職場のスタッフがCovid 19に罹患したことにより、研究以外の業務の負担が増加した。以上、おもにCovid 19の影響により進捗に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、リンパ管内類上皮細胞で発現の亢進が疑われるPPRsから順にその発現をRNA in situ hybridizationおよび免疫染色にて確認していく。発現が亢進しているPRRが同定されれば、その下流の分子やサイトカインの発現を確認する。 ただし現在、先進ゲノム支援に応募している。先進ゲノム支援を受け、複数のmRNAの発現の解析が同時に行えるXeniumによる解析を行うことができれば、リンパ管内の類上皮細胞のPRRsを網羅的に解析することが可能となる。当初は一つ一つのPRRsの発現を確認していく予定であったが、網羅的な解析が可能となれば一つ一つの発現を確認していく必要はなくなる。さらに同時にPRRsの下流で産生されるサイトカインの発現解析も可能となる。Xeniumによる解析が可能となった場合は、Xeniumで発現の亢進を同定した分子のみに対して、複数の症例を用いてRNA in situ hybridizationおよび免疫染色を行い、同定した分子の発現を多症例で確認する。 以上、リンパ管内類上皮細胞で発現しているPRRが同定することができたら、次にCD患者の血液検体から単球を単離し、発現が亢進していたPRRのリガンドを投与することで炎症反応が惹起されるかを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
受託解析の発注が年度内に間に合わなかったため。
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