現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、免疫組織化学的解析法やRNA in situ hybridizationを用いて、CDにおけるリンパ管内類上皮細胞に発現しているPRRの解析を行う予定であった。これらの解析を開始していたが、20種類以上の免疫染色やRNA in situ hybridizationを行う必要があり、その都度、染色条件の確認や適切な抗体の選定などに非常に時間が取られていた。しかし先進ゲノム支援で一度に400分子以上の分子の発現の解析が可能なXenium解析を支援していただいたおかげで、当初解析予定であったPRRや主なサイトカインなどの発現をまとめて解析することが可能となった。Xenium解析によるデータは現在解析中であるが、CDのリンパ管内類上皮細胞では、PRRに関しては少なくともTLR2, TLR4, TLR8などのPRR発現していることを確認した。しかし、コントロールの非CDのリンパ管内抗原提示細胞と明らかな発現の差はみられなかった。ただしPRRの発現とは別に核内受容体の一つであるVitamin D受容体を介したシグナルが亢進している可能性が示された。 当初は、免疫染色やRNA in situ hybridizationにより解析を進める予定であったがXenium解析により、予定よりも迅速に計画を遂行することが可能となった。またPRRに主に着目し研究を進める予定であったが、PRRやその関連分子だけでなくより多くの分子やサイトカインの解析を行うことができたため、リンパ管内類上皮細胞の活性化に関する可能性のある新たな分子の同定に繋がった。
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今後の研究の推進方策 |
CDのリンパ管内類上皮細胞でTLR2,TLR4,TLR8などのPRRの発現がみられたが、非CDにおけるリンパ管内抗原提示細胞においてもこれらの分子の発現がみられ、CDのリンパ管内類上皮細胞で発現がコントロールと比較し明らかに亢進しているPRRは認められなかった。コントロールと発現の違いは明らかではなかったが、CDのリンパ管内類上皮細胞でTLR2, TLR4, TLR8発現がみられたため、TLR2, TLR4, TLR8のリガンドでCD患者の単球を刺激し、CD患者の探求が類上皮細胞様に変化するかを確認する。変化の確認には形態的な変化の確認に加え、BulkのRNA-seqにて網羅的発現分子の比較を行う。 さらにXenium解析では、Vitamin D受容体のシグナルがコントロールと比較し、CDのリンパ管内類上皮細胞で有意に亢進している可能性が示されたため、Vitamin D受容体のリガンドの刺激によるCD患者の単球の変化の有無も同時に解析を進める。Vitamin D受容体リガンドとしては、リトコール酸およびカルシトリオールを用いる。またVitamin D受容体の刺激によりCD患者の単球に類上皮細胞様の変化が見られた場合は、Vitamin D受容体がクロマチンと結合するVDREが、CDと健常人とでは異なる可能性が考えられるため、CDと健常人とでVDREの相違を比較するため、Chip-seqを行う。
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