研究課題/領域番号 |
22K15422
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高村 佳緒里 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20811863)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Sessile serrated lesion / Dysplasia / MLH1 / メチル化 / 大腸 / 人体病理 |
研究実績の概要 |
大腸の広基性(無茎性)鋸歯状病変 (sessile serrated lesion, SSL)は、病理形態学的には明らかな腫瘍性異型は呈さず良性病変に分類されるが、悪性化ポテンシャルを有しており、大腸癌の前駆病変として認知されている。SSLの悪性化の過程は、SSLの中に異形成 (粘膜内に留まる腫瘍)が生じ、異形成から粘膜下層浸潤癌が生じるという段階を経る。SSLの異形成では、同一の異形成の中に、鋸歯状・管状・管状絨毛状に区別される、異なる形態の領域 (本研究ではこのような領域を形態ユニットと呼ぶ)が複数混在することが少なくない。本研究では、これまでに、管状・管状絨毛状の形態ユニットに、さらに腫瘍腺管の高度構造異型が併存するか、細胞増殖領域の分布に一定の特徴を伴う場合に、その形態ユニットから浸潤癌が生じるリスクが高いことを示唆する結果が得られている(論文作成中)。続いて、異形成の形態ユニット間での、形態の違い、細胞増殖領域の位置の違い、ならびに悪性化リスクの違いの背景にある分子異常を明らかにすることを目的に、DNAメチル化解析および空間トランスクリプトーム解析に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の前半で得られた結果を論文化する作業、およびホルマリン固定パラフィン包埋ブロックからの、ユニット別DNA分取に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の前半で得られた成果を海外学術誌に投稿する。 網羅的メチル化解析によって、形態ユニット間での分子異常の共通性や差異と悪性化のリスクの関連を解明する。また、空間オミックス解析を追加し、形態ユニット間および粘膜内での増殖活性の高い腫瘍細胞の位置 (深層、表層、全層)による分子異常の差異を可視化して比較検討する予定である。
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