研究課題/領域番号 |
22K15446
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
青木 亮二 日本大学, 医学部, 助教 (20939607)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 非肥満型高血糖 / 低出生体重児 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
【背景】低出生体重児の一部は、将来、顕著な肥満を伴わずに糖尿病を発症する。しかし、その発症機序は不明である。 【目的】低出生体重-非肥満型高血糖発症マウスモデルを用い、低出生体重-非肥満型高血糖発症の機序を解明すること。 【方法】妊娠マウスを妊娠16.5日に両側子宮動脈の血流を15分間遮断した虚血群(I)とコントロール群(C)に分類した。出生後にI群とC群の雌の新生仔マウスを、4週齢で離乳し、8週齢まで標準食で飼育した(各群:n = 7)。体重推移と8週齢時の空腹時血糖値、血清インスリン濃度(IRI)、HOMA-R、体組成、脂肪重量、除脂肪重量を測定し、2群間で比較した。体組成の測定は、生体電気インピーダンス法で測定した。また、8週齢で摘出した児の肝臓を用いて、メタボローム解析を実施した。 【結果】出生体重の中央値はI群1.5g、C群1.9gとI群で有意に低かった(p<0.05)。成獣期(雌)の体重、空腹時血糖値、IRI、HOMA-R、脂肪重量、除脂肪重量の中央値はそれぞれI群36.9g、213.0mg/dL、3.9μIU/mL、2.08、16.6g、19.1g、C群41.2g、72.0mg/dL、1.0μIU/mL、0.16、17.7g、22.6gであった。I群はC群に比べて除脂肪重量が軽く、血糖値、IRI、HOMA-Rが成獣期に低体重であるにも関わらず、有意に高かった(p<0.05)。肝臓のメタボローム解析では、ATP、乳酸の中央値はそれぞれI群16.0nmol/g、14.9nmol/g、C群37.0nmol/g、5.7nmol/gであり、I群でATPが低く乳酸が高値であり(p<0.05)、ミトコンドリア機能異常の存在が確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画で予定していた低出生体重-非肥満型高血糖発症マウスモデルを用いた低出生体重-非肥満型高血糖発症の機序の解明に関して順調に進展している。低出生体重-非肥満型高血糖発症機序の要因として、除脂肪重量の低下による筋原性インスリン抵抗性の増加とミトコンドリア機能異常が考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画で予定していた低出生体重-非肥満型高血糖発症マウスモデルを用いた成長ホルモンの効果についての研究を推進していく。また、糖代謝、脂質代謝に関する生化学的検査、肝臓・脂肪を用いてメタボローム解析を行う。肥満、糖尿病、脂質異常症に関連する蛋白質・RNA解析そして遺伝学的解析と病理組織学的解析も行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行で、当初予定していた国際学会や国内学会への参加が延期となり、その分の予算が使われなかったため繰越金が発生した。繰越金は、延期された学会参加費として使用する。
|