研究課題/領域番号 |
22K15452
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
宮崎 幸子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (60882420)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 熱帯熱マラリア原虫 / 遺伝子改変 / 肝内期 / 脂質代謝 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、熱帯熱マラリア原虫(Pf)が蚊体内やヒトの肝細胞内で発育するために必要なリン脂質生合成酵素を新たに同定し、Pfの生存・増殖に必須なリン脂質生合成系の分子基盤を明らかにすることである。これまでに赤内期のPfを対象とした研究により、リン脂質生合成酵素として複数の分子が同定されている。そこで本研究では、遺伝子改変Pfとハマダラカを用いたPf感染実験により、今まで未解明であった蚊のステージや肝内期の発育に必須なリン脂質生合成分子を明らかにする。遺伝子改変には、rapamycin-inducible Cre recombinase (DiCre) を発現するPfを用い、その標的遺伝子座にDiCre認識配列を挿入し、ラパマイシン処理によりDiCreを活性化することで標的部位が切断されるコンディショナルノックアウト(cKO)システムを利用する。 2023年度は、2022年度に育児休業を取得していたため進めることができなかった実験計画を進めることに専念した。具体的には、標的遺伝子のcKO原虫の作出を進めた。標的遺伝子にDiCre認識配列を導入するためのプラスミドをDiCre発現原虫にトランスフェクションし、薬剤選択を行った。しかし、目的の原虫を得ることができなかったため、アプローチを変更し、CRISPR/Cas9によるcKO原虫の作出を行うこととし、現在その実験を進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたストラテジーでは目的の遺伝子改変原虫が得られなかったことから、アプローチを変更したため、予定より少々遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は以下の研究計画を中心に遂行していく。 ①標的遺伝子のcKO原虫の作出を継続する。 ②cKO原虫のガメトサイト形成能の評価を行う。 ③cKO原虫をハマダラカに感染させ、オーシスト・スポロゾイト形成能の評価を行う。 2025年度以降は、電子顕微鏡によるcKO原虫オーシストの膜構造解析、cKO原虫スポロゾイトの肝内期における増殖能の評価、標的脂質代謝酵素の発現と局在の解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、2023年度は当初予定していた実験計画では目的を達成できなかったことから、アプローチを変更することとなったため、当初の研究計画より少々遅れており、使用額も当初の予定より少額となった。2024年度に2023年度に完了しなかった計画を進める予定であるため、2023年度の残額は2024年度に使用する予定である。
|