本研究では緑膿菌の加熱死菌や黄色ブドウ球菌の加熱死菌を材料として、それらをカイコの血管内に投与することによって全身性の炎症を誘導し、数時間以内に死に至る「サイトカインストーム」の病態モデルを構築することができた。特に、それらの加熱死菌をジメチルスルホキシドなどの有機溶媒と同時投与したり、実験に用いるカイコに飢餓ストレスを与えることによって症状が増悪することや、ヒトの臨床で用いられているナファモスタット(プロテアーゼ阻害薬)やステロイド(抗炎症薬)によって症状の改善がみられたことから、今後同モデルを用いてヒトの臨床応用が見込まれる化合物の探索を行う基盤を整備することができた。
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