研究課題/領域番号 |
22K15468
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹島 功高 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (30882500)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 単純ヘルペスウイルス / 核ラミナ / クロマチン |
研究実績の概要 |
単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染した細胞の核は、非感染時と比較して肥大することが知られている。今年度、我々は共焦点顕微鏡と3D画像解析ソフトを併用することで、HSV感染細胞の3D立体画像の構築とその解析系を新たに立ち上げ、HSV感染における核の体積、核ラミナ、宿主クロマチン、核内ウイルスタンパク質の時空間的変動を観察し、以下の結果を得た。1) HSV感染後の4、8、12、24時間後まで時間経過とともに核の体積が増加することが観察された。2)1)の結果と同様にHSV感染後から時間経過とともに、非感染細胞において核全体に存在する宿主クロマチンが、最終的に核の辺縁に局在することが明らかになった。3)さらに、核内膜直下に存在する核ラミナを構成するタンパク質であるLamin A/Cの存在しない領域が、HSV感染が進行するとともに増加した。4)また、HSV感染時、核内ウイルスタンパク質が感染進行に伴い、宿主クロマチンを押しのける様に核全体に散在することが観察された。5)最後にLamin A/Cまたは、核内膜タンパク質であるLamin B Receptorの2重欠損により、1)-4)の表現型が観察されず、HSV増殖が著しく抑制されることが明らかになった。これらの結果から、HSV感染により多種多様な核内コンパートメントがリモデリングされ、そのリモデリングがHSV増殖に重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共焦点顕微鏡、および3D解析ソフトを用いて、HSV感染細胞の核を立体的かつ、詳細に把握することが可能となった。前年度に見出いだしたLaminA/CとLamin B ReceptorがHSV感染の核内リモデリングに必要であることを利用し、LaminA/CとLamin B Receptorの2重欠損細胞におけるHSV感染細胞核を立体的に把握することで、核内コンパートメントのリモデリングがHSV増殖に重要であることが新たに示唆された。以上のことからも本研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、HSV感染によって引き起こされるダイナミックな核内コンパートメントのリモデリングがどのように引き起こされているのか、そのメカニズム解明を試みる。具体的には、HSV感染時、核の大部分を占める特定のウイルスタンパク質に蛍光タンパク質を挿入した融合蛋白質を発現する組換えHSVを作出する。本組換えウイルスを利用することで、HSV感染細胞における、核の体積、クロマチン、ウイルスタンパク質の時空間的動態を把握する。さらに、CRISPR/Cas9システムを用い、HSV感染時の核内クロマチンの変化を解析することにより、核内コンパートメントのリモデリングに関与する宿主因子の同定を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも核内コンパートメントリモデリングの解析系がスムーズに立ち上げることができたため、予想よりも時間と経費を削減し、HSV感染における核内コンパートメントのリモデリング機構の一端を解明することができた。そこで、次年度においてもHSV感染における核内コンパートメントのリモデリング機構の詳細を明らかにするために、RNA-seqやIFA電顕など微細な解析を行う必要があると考え、次年度へ予算を持ち越した。
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