研究課題/領域番号 |
22K15470
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松井 千絵子 神戸大学, 医学研究科, 助教 (70778414)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | シャペロン介在性オートファジー / エンドソームミクロオートファジー / C型肝炎ウイルス / Hsc70 / ウイルス複製 / HCV感染 / 蛋白質分解 / KFERQ配列 |
研究実績の概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)感染すると、細胞内シャペロン蛋白質Hsc70がHCV NS5A蛋白質と相互作用し、KFERQ配列を持つ宿主蛋白質をウイルス利便性のため、リソソーム系蛋白質分解経路を介して選択的に分解する。HCV感染により選択的オートファジー経路を介して分解を受ける宿主蛋白質は、リソソーム膜受容体LAMP-2Aと相互作用することでリソソームに取り込まれ分解される経路である、シャペロン介在性オートファジー(CMA)と、後期エンドソーム膜に取り込まれ、その後エンドソームとリソソームの融合により、リソソームで分解されるエンドソームミクロオートファジー(eMI)がある。しかしながら、HCV感染がどのようにCMAとeMIを使い分けるのか、両者の役割の違いは明らかではない。本研究では、HCV感染によるCMAとeMIの分別機構を解明する。 本年度はKFERQ配列を持つ宿主蛋白質が、HCV感染で蛋白質量の減少がみられるかをHCV感染実験とwestern blottingにて調べ、蛋白質量の減少がHsc70 siRNAまたはオートファジー阻害剤処理で回復するかを確認し、候補となる宿主因子を同定した。KFERQ標的配列に変異を入れたプラスミドを作製し、Hsc70による配列の認識が阻害されるのかを免疫沈降法にて解析し、さらに免疫蛍光染色法にてHsc70との局在を解析し、候補宿主因子のKFERQ配列がHsc70により認識されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HCV誘導性蛋白質選択的分解機構において、シャペロン蛋白質Hsc70が認識するKFERQ標的配列を有する宿主蛋白質において、HCV感染によるリソソーム依存性分解およびHsc70との相互作用、細胞内共局在を解析し、いくつか候補蛋白質を同定することができた。 候補となる新規標的蛋白質が、HCV感染で蛋白質量の減少がみられるかをHCV感染実験と、western blottingにて調べ、蛋白質量の減少がHsc70 siRNAまたはオートファジー阻害剤処理で回復することも確認できた。このことから、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
候補に挙がった蛋白質のうち、HCV感染によりCMA分解を受けるのか、あるいはeMI分解を受けるのかを絞り込む必要がある。CMA分解経路に必須であるLAMP-2Aと、eMI分解経路に重要なESCRT蛋白質に着目し、研究を進める。
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