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2022 年度 実施状況報告書

B型肝炎ウイルスゲノム挿入の新規検出法を利用したメカニズム解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K15481
研究機関国立研究開発法人国立国際医療研究センター

研究代表者

深野 顕人  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 臨床研究センター, 産学連携推進部 上級研究員 (80848531)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードB型肝炎ウイルス / HBV / 肝細胞がん / ゲノム挿入 / インテグレーション
研究実績の概要

B型肝炎ウイルス(HBV)感染による発癌過程には、ウイルスゲノムが宿主ゲノムへ挿入される現象が関与していることが知られる。しかしウイルスゲノムの挿入部位や挿入DNA断片は多様であり、その形成メカニズムはほとんど明らかでない。またHBVゲノム挿入を検出・解析する現行法は、高価で技術的制約があるなどの欠点があり汎用性が未だ低い。そこで本研究ではまず網羅的かつ安価で簡便にHBVのゲノム挿入を検出できる新規手法を確立し、その手法を用いることによりゲノム挿入機構の解明を目指している。他のウイルスゲノム挿入を簡便に検出する新規手法を応用し、まずはHBV肝細胞癌由来細胞株から、既報と一致するHBVゲノム挿入部位が同定できることを示した。さらにHBVを感染させた細胞や肝がん患者検体で新規に発生するゲノム挿入も本法で同定できることを解析した。また現行法のhybrid-capture法での解析結果と比較したところ、本法ではより少ないシーケンス量で同等レベルの解析が可能であることが示唆された。また同定された挿入部位について特異的プライマーを設計し、元のDNAサンプルからキメラゲノムを増幅することで本法の解析精度を評価した。以上の検討により、本法を用いることでHBVゲノム挿入を現行法より安価かつ簡便に検出できると考えられる。今後、本法を用いたゲノム挿入の分子機構解析を進めることで、HBV感染由来の発がんメカニズム解明へ重要な知見が得られると期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、HBVゲノム挿入の分子機構解析を行う上で重要な新規検出法の確立を行った。本法を用いることで、HBVを感染させた細胞におけるゲノム挿入を検出できたことから、細胞培養系を用いたゲノム挿入の解析が安価かつ簡便に可能となった。次年度以降の解析に有用な手法を確立できたため、順調に進展したと評価できる。

今後の研究の推進方策

本年度の研究結果より、HBVゲノム挿入を現行法より安価かつ簡便に検出できる新規手法を確立できた。次年度では、本法を用いることでゲノム挿入の分子機構の解析を進める。また本法は臨床検体中のゲノム挿入も検出可能であることから、臨床検体を用いたHBVゲノム挿入プロファイルの解析も並行して行う。

次年度使用額が生じた理由

(理由)368,282円の未使用額が生じたが、翌年度に使用することが効率的と考えたため持ち越した。
(使用計画)368,282円の未使用額は消耗品購入等にあてる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Amentoflavone inhibits hepatitis B virus infection via the suppression of preS1 binding to host cells2023

    • 著者名/発表者名
      Aoki‐Utsubo Chie、Indrasetiawan Puguh、Fukano Kento、Muramatsu Masamichi、Artanti Nina、Hanafi Muhammad、Hotta Hak、Kameoka Masanori
    • 雑誌名

      Microbiology and Immunology

      巻: 67 ページ: 281~292

    • DOI

      10.1111/1348-0421.13064

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of neutralizing epitopes in the preS2 domain of the hepatitis B virus2023

    • 著者名/発表者名
      Yato Keigo、Matsuda Mami、Fukano Kento、Tanaka Tomohisa、Moriishi Kohji、Nishitsuji Hironori、Shimotohno Kunitada、Tamura Koji、Wakita Takaji、Muramatsu Masamichi、Kato Takanobu、Suzuki Ryosuke
    • 雑誌名

      Virus Research

      巻: 323 ページ: 199014~199014

    • DOI

      10.1016/j.virusres.2022.199014

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Activities of endogenous APOBEC3s and uracil-DNA-glycosylase affect the hypermutation frequency of hepatitis B virus cccDNA2022

    • 著者名/発表者名
      Kitamura Kouichi、Fukano Kento、Que Lusheng、Li Yingfang、Wakae Kousho、Muramatsu Masamichi
    • 雑誌名

      Journal of General Virology

      巻: 103 ページ: -

    • DOI

      10.1099/jgv.0.001732

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 肝発癌へ寄与するB型肝炎ウイルスゲノム挿入の新規検出法の確立2023

    • 著者名/発表者名
      深野顕人、若江亨祥、直亨則、斎藤益満、豊嶋孝恵、坪田昭人、相崎英樹、松平崇弘、木村基、渡士幸一、杉浦亙、村松正道
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [学会発表] Establishment of a novel method for analyzing hepatitis B virus DNA integration2022

    • 著者名/発表者名
      Fukano K, Wakae K, Nao N, Saito M, Toyoshima T, Tsubota A, Aizaki H, Matsudaira T, Kimura M, Watashi K, Sugiura W, Muramatsu M
    • 学会等名
      2022 International HBV Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] B型肝炎ウイルスゲノム挿入の新規検出法の確立2022

    • 著者名/発表者名
      深野顕人、若江亨祥、直亨則、斎藤益満、豊嶋孝恵、坪田昭人、相崎英樹、松平崇弘、木村基、渡士幸一、杉浦亙、村松正道
    • 学会等名
      第69回日本ウイルス学会学術集会
  • [学会発表] B型肝炎ウイルスcccDNAの変異頻度に関わるAPOBEC3ファミリーとUNGの解析2022

    • 著者名/発表者名
      喜多村晃一、深野顕人、Lusheng Que、Yingfang Li、若江亨祥、村松正道
    • 学会等名
      第69回日本ウイルス学会学術集会
  • [学会発表] NTCP多量体形成に着目したB型肝炎ウイルス内在化機構の解明2022

    • 著者名/発表者名
      深野顕人、渡士幸一、村松正道
    • 学会等名
      第58回日本肝臓学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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