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2022 年度 実施状況報告書

免疫応答における新規ヒストン修飾制御因子の役割

研究課題

研究課題/領域番号 22K15498
研究機関熊本大学

研究代表者

高島 謙  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10802647)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒストン修飾 / 自然免疫応答 / B細胞クラススイッチ / 核小体
研究実績の概要

我々は新規ヒストン修飾制御因子として核小体タンパク質Xを同定し、分子XがヒストンH3K27me3修飾を制御すること、さらに乳癌の形成・進展に影響を与えることを明らかにしてきた。興味深いことに、 我々のこれまでのトランスクリプトーム解析から、分子X欠損乳癌細胞株では炎症関連遺伝子の発現が亢進していることが明らかとなったが、分子Xの免疫応答での役割は不明である。以下2点について着目し、解析を進めた。
研究項目1:自然免疫応答における分子Xの役割
分子Xを欠損させたRaw264.7細胞をdsRNAアナログpoly(I:C)により刺激し、トランスクリプトーム解析を行った。分子X欠損マクロファージ細胞ではpoly(I:C)刺激により、1型IFNや炎症性サイトカインを基軸とする炎症応答関連遺伝子の発現が顕著に亢進していた。興味深いことに分子Xの欠損のみでも、1型IFN産生に重要であるTBK1のリン酸化までは生じるものの、IRF3のリン酸化は生じないことが明らかとなり、この炎症応答の変容は未知の調節機構を介している可能性がある。さらに分子X以外にも、分子Xと機能連関が見られる特定の核小体分子の欠損により、自然免疫応答が著しく変容することを特定した。現在、核小体の変化が炎症応答の変容を引き起こすための責任分子を特定しており、さらに詳細な分子機構を明らかにする。
研究項目2:B細胞クラススイッチ(CSR)における分子Xの役割
B細胞において分子Xの発現が高いこと、ヒストン修飾制御はB細胞クラススイッチに重要であることから、分子XのCSRにおける役割を検討した。分子Xを欠損したマウスリンパ腫由来細胞CH12F3-2Aでは、特定のサイトカイン刺激に応じたIgAへのクラススイッチが上昇することが明らかとなった。現在、この詳細な分子機構の解析を早急に進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究項目1:自然免疫応答における分子Xの役割
分子X以外の特定の核小体内分子が炎症応答を制御することが明らかとなった。また現在、新規制御メカニズムの一端に迫りつつあるため、当初の予定より進展していると考えられる。
研究項目2:B細胞クラススイッチ(CSR)における分子Xの役割
培養細胞のみならず、初代B細胞を用いた解析でも分子XのCSRへの重要性を見出しており、当初の予定より進展している。
しかし、分子Xのfloxマウスの樹立に不具合が生じ、コンディショナルノックアウトマウスモデルの構築が当初の予定より遅れているため(2)とした。

今後の研究の推進方策

研究項目1:自然免疫応答における分子Xの役割
分子Xおよび分子Xと機能連関のある核小体分子の欠損により、炎症応答が変容することが明らかとなったため、その分子メカニズムの詳細を明らかにする。現在、そのキーとなる分子や分子機構の一端を同定しており、まず早急に論文にて発表する。さらに核小体は栄養、紫外線、化学物質刺激などの外部の刺激に応じて、形態や機能が変容するオルガネラであるため、栄養変化や化学物質刺激下での炎症応答の変容と核小体の連関についても検討を進める。またマクロファージ特異的分子X欠損マウスを構築を急ぐ。
研究項目2:B細胞クラススイッチ(CSR)における分子Xの役割
培養細胞のみならず、初代B細胞を用いた解析でも分子XのCSRへの関与が明らかとなった。今後はクラススイッチ制御領域を標的としたCUT&RUN法やATAC-seq法を駆使してその詳細な分子メカニズムについて迫るとともに、生体レベルでの意義を検討する。

次年度使用額が生じた理由

floxマウス導入のために準備していた費用と、マウス自体を用いた解析に必要な試薬に当てていた費用が一部未使用となり、次年度使用額が生じた。次年度使用額は翌年度分として請求した助成金と合わせて、floxマウスを新たに導入するための費用とマウスを用いた解析に必要な試薬の費用、または実験項目(1)、実験項目(2)の分子生物学的解析、免疫学的性状の解析に必要な試薬、論文投稿や学会参加費に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Nucleolus dysfunction-induced DNA leaking alters innate immune response under nutrition starvation2023

    • 著者名/発表者名
      Ken Takashima
    • 学会等名
      JSICR/MMCB 2023
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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