分子XはヒストンH3と類似した配列を持ち、まるで「ヒストンを模倣するかのように振る舞う」ことでH3K27me3修飾のバランスを制御する。このようなヒストンを模倣し、エピゲノム制御を行う因子の報告は初であり、我々は分子Xが乳がんの形成・進展に必要であることを明らかにしてきた。本研究成果では分子Xが乳がんのみならず、自然免疫応答やB細胞クラススイッチなどの免疫応答の制御にも寄与することを明らかにした。この「ヒストンを模倣する」という新たなエピジェネティクス制御機構をより深く理解することにより、生体恒常性のしなやかな制御を見出すとともに、新たなエピジェネティクス創薬に繋がることが期待される。
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