研究実績の概要 |
瘍崩壊症候群(Tumor lysis syndrome, TLS)は、がん化学療法開始直後にがん細胞の急速な死滅崩壊により高カリウム血症、高リン血症、高尿酸血症を生じる急性代謝異常である。Oncologic emergencyであり、発症リスクに応じた適切な予防マネジメントを行う必要があるが、その病態生理は解明不十分である。申請者は、本研究において、培養白血病細胞を用いて抗がん薬による細胞死に伴う細胞内エネルギー代謝の変化を脂肪酸代謝、糖代謝に絞って検討し、TLS病態のさらなる解明とTLS発症の予測マーカーとなるべきバイオマーカーの同定を目指している。 現在、培養急性前骨髄球性白血病(HL60)を用い、抗がん薬シタラビン(Ara-C)を用いて、HL60に対するAraCの増殖抑制効果の評価のためにIC50を測定しており、3回の平均値としてIC50は530nMと確認している。 次いで、HL60にAraC10μMで設定し、72時間暴露させた。遠心をかけ、その上清に対して生化学的検討を施行した。上清中の尿酸値は0 mg/dL, K 4.7 mEa/L, P 38.5 mg/dL, LD 19 U/Lであった これらより、AraC10μMのHL60への添加は十分量の細胞破壊が期待でき、その上清の生化学的検討においては、核酸測定も考慮したメタボローム解析も含めた追加検討が必要であると考慮された。
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