研究課題/領域番号 |
22K15517
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研究機関 | 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所) |
研究代表者 |
迎 恭輔 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 主任 (60793974)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 神経堤細胞 / 体幹部 / NCC / MYCN |
研究実績の概要 |
小児がんである神経芽腫は、神経堤細胞に由来し、交感神経への分化の過程で発生する悪性固形腫瘍である。神経芽腫の悪性化と相関する遺伝子異常はMYCN遺伝子の増幅であるが、それに加えてTP53パスウェイ異常等が同時に起こることでさらに悪性化すると考えられている。本研究では、ヒトiPS細胞を神経堤細胞に分化する実験系を用いて、正常細胞から神経芽腫細胞を作り出すことを試みている。本年度は、健常者由来iPS細胞およびTP53変異iPS細胞から体幹部神経堤細胞への分化誘導を行った。この分化誘導法は、レチノイン酸、FGF、BMP4 を用いた、iPS 細胞からの効果的な浮遊型の体幹部神経堤細胞への分化誘導法がすでに確立されているため、本研究においてもその方法に従った (Kirino et al. Scientific reports 2018)。しかし、この方法だけでは、培養維持、遺伝子導入が困難であったため、さらに独自の方法によって改善した。健常者およびTP53変異体幹部神経堤細胞にMYCN遺伝子を導入し、軟寒天コロニー形成を行ったところ、健常者体幹部神経堤細胞ではコロニーが形成されなかったが、TP53変異体幹部神経堤細胞は多数のコロニーを形成した。さらに、MYCN遺伝子導入したTP53変異体幹部神経堤細胞コロニーを単離し、免疫不全マウスに移植した。現在のところ、発がんは認められないが、引き続き、コロニーの単離と免疫不全マウスへの移植を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに確立されている体幹部神経堤細胞への培養後、EGF、EFG、BMP4等の添加剤を用いた接着培養によって体幹部神経堤細胞マーカーであるPHOX2Bの発現維持を確認した。その後、MYCN遺伝子導入、形質転換によって免疫不全マウスへの移植細胞候補株をスクリーニングしてきた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、免疫不全マウスへの移植を進めるために、候補株を増やしていく。また、それでも発がんが認められない場合は、MYCNに加えて他の遺伝子導入も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
割引価格購入により、定価購入よりも安く試薬類を調達することができたため、翌年度分の研究費として使用することを計画したため。
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