研究課題/領域番号 |
22K15529
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
甲斐田 剛圭 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (80792580)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 補体 / C5aR / PD-L1 |
研究実績の概要 |
肝細胞癌は未だ難治性の消化器癌の1つであり有効な抗がん剤治療は数少なく、効果も乏しいのが現状である。近年新しく開発され脚光を浴びている免疫チェックポイント阻害剤の恩恵を受けられる症例が少しずつ報告されて脚光を浴びている。本研究は、肝細胞癌における補体ケモカインであるC5a-C5aRとPD-1-PD-L1の発現意義と相互作用を明らかにするとともに、近年、臨床研究が進んでいる免疫チェックポイント阻害剤を利用した新しい治療戦略を探索することが目的であった。 臨床検体における免疫染色による発現解析を実施し、栄養状態や予後の関連を評価した。その結果、腫瘍内のPD-L1と PD1は有意に逆相関がみられた。PD-L1陽性症例は、無再発生存期間が有意に不良であり、PD1/CD8が低いほど無再発生存期間が有意に不良であることがわかった。フレイルの人は有意に腫瘍内PD-L1陽性症例の割合が高いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床サンプルの発現解析、がん細胞など、それぞれの研究組織が得意とする多施設での共同研究を展開することができている。 しかしながら、臨床サンプルを用いた解析では、がん細胞におけるC5aRの発現が肝細胞癌症例の予後に有意な変化はなかった。間質細胞においてもC5aRの発現が認められており、現在、間質におけるC5aRの発現と予後についての評価を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、肝細胞癌株におけるC5aRやPD-L1の発現、間質細胞(CAFs, HSCs)株におけるC5aRの発現などを確認しin vitroでの検証を予定している。 C5a刺激におけるがん免疫補助シグナルの変化やC5aR-HSCsがPD-L1がん細胞に与える影響について詳細に検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由と使用計画:試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。試薬、消耗品の購入費に充てたいと考える。また、研究補助のために技術補佐員の雇用経費に充てたい。
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