研究課題/領域番号 |
22K15530
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
高田 顕太郎 横浜市立大学, 医学部, 助教 (50898020)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 唾液腺癌 / 腫瘍関連神経 / 癌オルガノイド / 癌微小環境 / PDXモデル |
研究実績の概要 |
マウスの顎下腺・耳下腺を確認、顔面神経を露出し結紮方法を確認した。顔面神経の処理の操作と、唾液腺癌の同所性異種移植片(耳下腺への唾液腺癌オルガノイド移植)の再現性ありモデル作成を試作した。免疫不全マウス(NSGマウス)の片側の顔面神経を結紮切離例にも腫瘍の生着と増大は確認できた。腫瘍のリンパ節転移や遠隔転移については移植から8週後には確認されなかった。最初の移植量を増やすことで遠隔転移が誘発できるかも今後検討する。 さらにヒト唾液腺癌検体からの新規患者由来オルガノイド作成と患者由来異種移植片(PDX)作成を、試行した。ただし、症例毎の検体量が十分量得られないことが多く、検体状態不良のためにオルガノイドとしての継続培養やPDXとしての継代を維持できるに至る症例は得られなかった。今後もヒト検体からオルガノイドとPDXの作成を継続する予定である。 現在、唾液腺癌の同所性異種移植後、生着した腫瘍と神経の免疫染色についてムラがある。 腫瘍内および対照正常部位のノルアドレナリン濃度をELISA法で測定し,tyrosine hydroxylase (TH) 陽性のノルアドレナリン放出神経を蛍光免疫組織化学で同定,定量化する予定のため、まだ再現性が不十分と考えられ、濃度・染色時間等を調整・試行している。先行して行っていた、当科の既存の唾液腺癌オルガノイドと唾液腺癌PDXの耳下部への同所性移植をしたマウスモデルの順調な腫瘍増大を確認し、免疫組織染色方法の再現性を高める。染色方法が安定したところで、ピレンゼピンに加えて,シスプラチンや既存の分子標的薬の併用を行い,有効性を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年間を通しての唾液腺癌の手術症例が少なかったため、患者検体からのオルガノイド作成とPDX作成が少なかった。また、採取検体量が十分とれないことがあり、培養・腫瘍生着条件が比較的不良だったと考えられた。そのため安定して継代できるオルガノイドやPDX作成ができなかった。 マウスの顎下腺、顔面神経の確認、顔面神経の処理の操作について予定通り確認できている。腫瘍の生着認められるが、顔面神経と腫瘍の関連性を評価する免疫組織化学が安定せず、安定した染色にはまだ反復が必要と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
新規オルガノイド株とPDX株の作成のため、唾液腺癌腫瘍採取を継続する。新規のオルガノイド培養とPDX株の作成が難しい場合は、当科で作成した既存のオルガノイドとPDXのみで評価をすすめる。 現在先行して行っていた、当科の既存の唾液腺癌オルガノイドと唾液腺癌PDXの耳下部への同所性移植をしたマウスモデルの順調な腫瘍増大を確認し、免疫組織染色方法の再現性を高める。 腫瘍の生着部位の安定性と免疫組織化学染色の再現性を確認した後、マウス数を増やして顔面神経の有無・関連による腫瘍の増大や進展の有意差がでるかを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に対象症例が比較的少ないために、次年度使用額が生じた。 次年度のヒト検体からのオルガノイドとPDX作成に使用、また、次年度にマウスの数を増やしてPDXを作成し、腫瘍の増大と免疫組織染色評価を行う。
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