現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、NF2関連神経鞘腫及び孤発性神経鞘腫のヒト検体を3例、15例得ることに成功し、HIF-1α,VEGF-A, VEGFR1, VEGFR2を中心に遺伝子発現を解析した。コントロールにこれらの経路が高発現していることで知られている膠芽腫症例を使用した。その結果、両神経鞘腫瘍はGrade 3程度のhigh grade gliomaに相当する高発現を示した。さらに過去のNF2関連神経鞘腫検体22例、孤発性神経鞘腫症例21例の過去の組織検体を用いてタンパクレベルでもそれぞれの高発現を示した。 NF2関連神経鞘腫及び、孤発性神経鞘腫の初代継代は良性腫瘍故に悪性腫瘍ほどの成功率は示さず、やや苦戦したが最終的に、それぞれ2例、3例の大変貴重な細胞株の樹立に成功した。それらの細胞株に関しても、HIF-1α,VEGF-A, VEGFR1, VEGFR2の高発現を遺伝子発現レベルで評価した。現在、低酸素環境における造腫瘍能評価を行い、HIF-1αの発現抑制及び強制発現の準備を行っている。 また、神経鞘腫はヒトでは前庭神経に生じることが多く聴力障害が生じることが非常に重要な特徴であるが、聴力障害を安定して生じるモデルの樹立報告は少ない。私達は定位移植装置を用いて、マウスの小脳橋角部に移植する技法を編み出し、聴力障害を来すin vivoモデルを樹立することに成功しつつある。
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