本研究では、肝細胞癌における転移の分子機構および腫瘍免疫回避機構を解明することを目的とした。当院で肝細胞癌に対して生体肝移植術を施行した症例でVETCやAng-2、mTORの発現を免疫染色にて評価した。VETC陽性患者はVETC陰性患者に比べ有意にmTOR陽性率が高く、Ang-2発現は、mTOR陰性群よりもmTOR陽性群で有意に高かった。生体肝移植後に肝細胞癌の再発を認めた症例のうちmTORの発現はVETC陰性の再発病変と比較して陽性の再発病変で有意に高かった。mTOR発現は、VETC陰性の原発巣および再発病変よりもVETC陽性の原発巣および再発病巣で高いことが明らかとなった。
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