研究課題/領域番号 |
22K15548
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
滝川 雅大 東京理科大学, 創域理工学部生命生物科学科, 助教 (80807834)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | がん抑制遺伝子 / Hippoシグナル経路 / アポトーシス / p53 |
研究実績の概要 |
胃がんや乳がんの一部でプロモーター領域が高度にメチル化されているp53PAD7遺伝子は代表的ながん抑制遺伝子p53の標的遺伝子であることが明らかにされているが、その分子的な機能はほとんど未知であった。我々はこれまでに、p53PAD7蛋白質が細胞外へ分泌されることを発見し、精製したリコンビナントp53PAD7蛋白質を培養培地に添加した際に細胞にアポトーシスを誘導させることを明らかにした。さらに、その受容体分子の同定に成功し、Hippoシグナル経路の転写共役因子として知られるYAP/TAZがp53PAD7によるアポトーシスに関連することも明らかにした。特に、YAP/TAZのノックダウン実験によって外因性アポトーシスが抑制されることから、非常に重要な因子であると考えられる。しかしながら、受容体分子から細胞死に至るまでのシグナルがどのように伝わるのかは明らかになっていない。そこで、生化学的な解析を用いてp53PAD7によるアポトーシス誘導メカニズムを明らかにすることを本研究の目的とした。本研究を行うことで、細胞が本来備えたp53PAD7によるがん抑制機構を、全く新しいがん治療法に応用できるかの基礎的な知見が得られるものと考えている。 これまでに盛んに研究が行われているTNF superfamilyによる外因性アポトーシスの、細胞内におけるシグナル伝達経路についてはある程度明らかになっている。そこで、既知の細胞内シグナル伝達経路に対してp53PAD7が何らかの影響を与えると予想し、解析を行なった。さらに、p53PAD7による外因性アポトーシスを抑制するような遺伝子を同定するための実験を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
p53PAD7によるアポトーシスに関連する遺伝子を発見することを目的としているが、研究計画段階では予想していなかった遺伝子が関連することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、p53PAD7の受容体分子として膜貫通型カドヘリン様蛋白質を複数同定している。それらの分子とHippoシグナル経路との関連はこれまでにも指摘されてきていたが、外因性アポトーシスとの関連は不明である。今後は、p53PAD7蛋白質が受容体分子に受容されたのちに、細胞内にどのようなシグナル伝達を行うかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体の購入に必要な費用が当初の予定よりも少なかったため。 リコンビナント蛋白質を大量に精製する実験に多くの資材を必要とするため、それらの実験に用いる。
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