研究課題/領域番号 |
22K15555
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
北沢 将人 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (10467152)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | KRAS変異 / 大腸癌 / MEK阻害剤 / KRAS阻害剤 / 抗EGFR抗体 / STAT3 |
研究実績の概要 |
KRASは約40年前に発見され、長い間Undruggable targetとされてきたが、KRAS G12C阻害剤ソトラシブの開発と非小細胞肺癌への承認により、この分野は大きな転機を迎えている。膵癌、大腸癌、胆管癌におけるKRAS変異頻度は約90%、40%、15%と報告され、KRAS変異を標的とした治療の確立により、消化器癌の治療成績を大きく改善する可能性が期待されている。しかし、大腸癌ではKRAS変異選択阻害剤単剤では耐性を示すことが報告されており、その耐性メカニズムの解明やそれを克服する新規治療アプローチの開発が急務である。 我々の研究室では、KRAS変異大腸癌に対するKRAS阻害剤の耐性機構を研究し、MEK、BCL-XLが耐性制御分子として同定し、過去に報告した。 本研究ではKRAS変異大腸癌細胞、膵癌に対するKRASG12C阻害剤ソトラシブと新規薬剤G12D阻害剤MRTX1133の耐性制御分子を明らかにし、KRAS変異癌に有効な治療戦略を見出すことを目的とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸癌におけるソトラシブ耐性には、フィードバック機構によるEGFR、MEKの再活性化が関連していることを明らかにした。抗EGFR抗体薬とMEK阻害剤の併用により、耐性シグナルを有効にブロックすることが出来、in vitro、in vivoでソトラシブ、抗EGFR抗体薬、MEK阻害剤の3剤併用が有効であるとを証明し、報告した(Cancer Lett. 2023; 567:216264.)。また、G12D変異大腸癌に対しては、G12D阻害剤MRTX1133と抗EGFR抗体薬の併用が有効であることも明らかにした(Anticancer Res. 2023; 43: 4341-4348.)。
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今後の研究の推進方策 |
これらの研究成果を踏まえ、膵癌細胞におけるソトラシブとMRTX1133の耐性シグナルについても研究を進めています。特に、STAT3のフィードバック活性化とMEKの再活性化が重要な役割を果たしていることを明らかにし、JAK阻害剤FedratinibとMEK阻害剤Trametinibの併用により、KRAS変異阻害剤の耐性シグナルを制御し、in vitroとin vivoの両方で強い増殖抑制効果を示すことを証明し、論文作成中である。
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