研究課題/領域番号 |
22K15559
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
矢内 正晶 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (30874375)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 免疫関連有害事象 |
研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)は様々な癌腫で有効性が示され、使用される機会が増加している。それに伴い免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)という免疫を介在した有害事象への対応が課題となっているが、その発症機序はまだ十分には解明されておらず、irAEの発症予測や鑑別に有用なバイオマーカーは存在しない。本研究では、侵襲の低い血液検体を用いたirAEの発症予測および鑑別のバイオマーカーの探索を目的としている。 本年度は当院におけるICI投与症例のレジストリ研究を開始し、ICIによるirAE発症状況および臨床情報を用いたirAEのリスク因子の検討を行った。レジストリ研究では、2014年1月以降に当院でICIを投与した779例を登録し、irAEの発症状況に関する調査およびirAEのリスク因子の検討を行った。なお、今年度は当院で170例が新規にICIを開始され、1年間で99件の中等症以上のirAEを認めた。当院におけるICI投与症例のうち、ICI投与前の甲状腺自己抗体が陽性の場合は、irAE甲状腺機能低下症の発症リスクが高いことを示した。また、irAEの発症と年齢には関連がないことを明らかにした。これらは第20回日本臨床腫瘍学会学術集会にて報告した。 一方でICI投与患者の血液検体を用いたirAEの発症予測や鑑別のバイオマーカー探索を目的とした臨床研究の開始準備に時間を要しており、まだ症例登録および血液検体の収集が開始できていない。そのため次年度に臨床研究の開始、症例集積を進めていく予定としている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度はICIによるirAE発症状況について、当院におけるICI投与症例のレジストリ研究を開始し、臨床情報を用いたirAEのリスク因子の検討を開始したが、ICI投与患者の血液検体を用いたirAEの発症予測や鑑別のバイオマーカー探索を目的とした臨床研究の開始準備に時間を要しており、まだ症例登録および血液検体の収集が開始できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、当院におけるICI投与症例のレジストリ研究での症例集積を継続し、臨床情報を用いたirAEのリスク因子の検討を行う。また、ICI投与患者の血液検体を用いたirAEの発症予測や鑑別のバイオマーカー探索を目的とした臨床研究を開始し、症例登録および血液検体の収集を進めていく予定としている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
臨床検体を用いた研究の開始が遅れており、今年度の使用額が少なくなっている。次年度から臨床検体の採取を開始するため、次年度から物品費として使用する予定である。
|