研究課題/領域番号 |
22K15582
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山内 理海 広島大学, 大学院医系科学研究科, 専門研究員 (80810142)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腫瘍微小環境 / 分子標的薬 / 免疫療法 / 抗腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
進行肝細胞癌の患者51例に由来する腫瘍組織において、腫瘍増殖や腫瘍免疫に関連するシグナルが、分子標的治療によって遮断されることにより生じる治療中の腫瘍微小環境のRNA発現変化を検出した。特にVEGFR、FGFR経路のブロックによって惹起される抗腫瘍免疫の活性化を、ヒト検体のなかで実際に検出したことには大きな意義がある。さらにそれらの微小環境の変化は、末梢血で測定するサイトカイン、ケモカインによって代替的に可視化できる可能性があることを示した。具体的には、抗腫瘍免疫が活性化する症例では、IFN-GやCXCL9、CXCL10の増加が末梢血レベルで起きている。そして、これらの変化は、治療抵抗期には消失していく。 この知見は、免疫治療とのコンビネーションによる治療効果の改善の際に、分子標的薬を事前、あるいは同時性に投与し、腫瘍微小環境の状況を、より免疫治療が効きやすい状況に改変する戦略の根拠となりうる。 付随的な所見として、治療中、T細胞レパトアの多様化も検出された。レパトアのシークエンス結果は、将来的にネオアンチゲンの探索に重要な情報となる。 さらに治療耐性期の組織、血液データも取得しており、今後は治療中のデータと比較検討しながら、治療標的となる分子の探索を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要な解析と論文化をほぼ終了した。
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今後の研究の推進方策 |
積極治療期の検体(腫瘍、血液)を用いて、解析手法の有効性を証明した。治療終了期(抵抗性の獲得期)の検体解析に同様の手法で取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した外注検査を、施設内実施に切り替えて、若干の費用が節約されたため。令和5年度予算の残額と令和6年度予算額を合わせたものは、追加の検証のための実験試薬の購入や英語論文の校正に使用します。
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