| 研究実績の概要 |
本研究は、難治性造血器腫瘍に対する同種造血幹細胞移植後の再発に関わる免疫逃避機構、とくにHLA loss(copy number neutral loss of heterozygosity:cnLOH)に注目し、その予測・検出法の確立および免疫療法選択への臨床応用を目的としたものである。初年度には、HLA遺伝子座が存在する6番染色体短腕の5Mbp領域に対し、カスタムaCGH/SNPアレイを設計し、HLAミスマッチ移植後の再発症例24例においてcnLOHや後天性UPDの検出に成功した。最終年度は、実臨床への実装を目指し、検体提出から報告までのturn around timeの短縮など実務上の課題についても取り組んだ。並行して移植後再発例における治療介入の意義を検証する臨床研究を展開し、責任著者として英文論文3報を発表した(Leukemia Research, Bone Marrow Transplantation, Frontiers in Immunology)。いずれもblinatumomab/inotuzumab併用療法、AZA+GO維持療法、DLI戦略30年の変遷に関する実臨床成果であり、移植後再発に対する治療最適化に貢献するものである。また、学会発表は国内で5件行い、そのうち1件は日本血液学会における招待講演(クリニカルディベートの演者)であった。加えて、前年度に報告した、HLA lossに関する研究成果(古城ら、第46回造血・免疫細胞療法学会2024年3月)をもとにした英文論文草稿は現在英文校正を終え、共著者間で供覧中であり、2025年5月中の投稿を予定している。上記のように、最終年度はHLA lossを含む免疫逃避機構の検出システムの整備へ向けて大きな進捗が得られ、並行して本研究費を用いて英文論文報告も含めた学術業績を残すことができた。
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