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2022 年度 実施状況報告書

新規マウス担癌irAEモデルを用いた免疫チェックポイント阻害薬耐性機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K15617
研究機関公益財団法人神戸医療産業都市推進機構

研究代表者

三重 慧一郎  公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員 (30791082)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード免疫チェックポイント阻害薬 / 免疫関連有害事象 / PD-1 / CD8陽性T細胞
研究実績の概要

抗PD-1抗体をはじめとする免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)は顕著な抗腫瘍効果を示す一方で、同一腫瘍種においても治療効果が得られる症例と得られない症例がいることが問題となっている。本研究の目的は、申請者が独自に開発した担癌皮膚免疫関連有害事象(irAE)モデルマウスを用いて、ICIsの治療効果が得られるかどうかを左右する鍵となる腫瘍によるT細胞抑制機序を明らかにすることである。
令和4年度は、まず試験に供するマウス数を増やして独自の担癌皮膚irAEモデルマウスにおける抗PD-L1抗体と皮膚irAEの程度の関連を検証した。その結果、両者が良好な負の相関を示すことが確認され、本モデルマウスが実臨床で認められるirAEの発症とICIsの治療効果が相関する現象を再現するものであることが示唆された。続いて、腫瘍の有無が皮膚irAEに及ぼす影響を検証し、担癌マウスでは皮膚irAEの程度が有意に軽減するとともに、浅耳下腺リンパ節のCD8陽性エフェクターT細胞が有意に減少することを明らかにした。これらの結果から、腫瘍はCD8陽性T細胞におけるT細胞受容体(TCR)シグナル伝達を阻害し、その程度の差異がICIsの治療効果やirAE発症の個体差を引き起こすのではないかと考えられた。
この仮説を検証するため、マウスに腫瘍を接種後、皮膚irAEを誘導する前の段階で腫瘍領域リンパ節を採取してリンパ節細胞をin vitroにて固相化抗CD3抗体を用いて刺激し、フローサイトメーターでリン酸化ZAP70の発現を解析した。その結果、予想に反して腫瘍の増大とリン酸化ZAP70の発現に正の相関が認められ、腫瘍はTCRシグナル伝達のより下流を阻害している可能性が推測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

皮膚irAEを誘導した後の段階では、CD8陽性T細胞の分化が進んだ状態であるためにICIsの治療効果と皮膚irAE発症の関連の鍵となる因子の探索には適さないことが推測されたため、皮膚irAEを誘導する前の段階で採取してin vitroで刺激したCD8陽性T細胞を用いて目的の因子を探索する計画に変更したが、その条件設定に時間を要したため、今年度中には当初の計画で予定していた遺伝子発現の網羅的解析等を実施できなかった。

今後の研究の推進方策

これまでの研究結果から、担癌皮膚irAEモデルマウスにおけるICIsの治療効果と皮膚irAE発症の関連には腫瘍によるTCRシグナル伝達の阻害が関連していることが示唆されたため、その解析をフローサイトメーターを用いて遂行する予定である。さらに、これと並行して、皮膚irAE発症前に摘出した腫瘍領域リンパ節からCD8陽性T細胞をセルソーターを用いて分離し、in vitroで活性化したのちにDNAマイクロアレイ法による遺伝子発現の網羅的解析に供して、ICIsの治療効果の個体差と関連する因子を探索する予定である。

次年度使用額が生じた理由

担癌皮膚irAEモデルマウスにおいてICIsの治療効果と皮膚irAE発症が関連する現象の鍵となる因子の探索に際して、組織を採取するタイミングやCD8陽性T細胞のin vitroでの活性化方法等の検討に時間を要したため、遺伝子発現の網羅的解析等が今年度中に実施できなかった。持ち越した次年度使用額は、遺伝子発現の網羅的解析を含む当初の計画通りの解析に用いる予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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