研究課題/領域番号 |
22K15649
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
緒方 洵 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (20825179)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | αSynuclein / パーキンソン病 / ショウジョウバエ / オミックス解析 / 脂質 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病 (PD)はαSynucleinの凝集が神経回路を伝搬するプリオン病であることが明らかにされつつある。αSynucleinが凝集する原因が明らかになれば、本疾患は予防可能になると考えられる。脂質関連PD原因遺伝子であるVPS13CとPLA2G6は、機能喪失変異により顕著なαSynucleinの凝集形成を伴う。さらに、ゲノムワイド関連解析から脂質代謝遺伝子がPDリスク遺伝子として同定されている。これらエビデンスから脂質恒常性の破綻がαSynucleinの凝集形成の要因であると考えられる。そこで本研究ではVPS13CおよびPLA2G6欠損ショウジョウバエを用いたオミックス解析とαSynuclein伝搬モデル哺乳類細胞およびショウジョウバエ・酵母分子遺伝学を組み合わせ、凝集リスクとなる脂質分子種と責任脂質酵素を同定することを目指した。 今年度は、オミックス解析で検出したリスク脂質関連酵素群について、αSynucleinとの遺伝的相互作用をショウジョウバエの網膜電位によるスクリーニング、免疫染色による凝集性評価にて解析した。ハエで絞られた5遺伝子については、さらにαSynuclein伝搬モデル哺乳類細胞で表現型を評価し、最終的に1つの遺伝子を更なる解析に進めることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網膜電位によるスクリーニング実験を、一次スクリーニングとして設定していたが、昨夏に電極作製用のプラーの故障があり、一旦一次スクリーニングの中断を余儀なくされた。しかしその間に、二次・三次スクリーニングである免疫染色による凝集性の評価、αSynuclein伝搬モデル哺乳類細胞を進め、遅れを最小限に留めるよう努めた。スクリーニングは今年度でおおよそ完了した。
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今後の研究の推進方策 |
多段階のスクリニーングの結果、脂肪滴の代謝に関与する酵素がαSynuclein凝集のリスクになる可能性を突き止めた。共同研究者である群馬大学、高稲正勝博士の酵母の遺伝学的スクリーニングにおいても、そのオルソログが単離されており、この酵素を中心に、ショウジョウバエ神経に及ぼす影響、αSynuclein凝集が起こる機序の解析を進める。本酵素の阻害剤が入手可能なため、マウス伝播モデルでの阻害剤の効果を評価する実験系のセットアップを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた一次スクリーニングが中断されたため、次年度使用とする。次年度はマウス伝搬モデルを用いた実験系を立ち上げるため、次年度使用予算を充てる。
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