がんの鎮痛に使用されるモルヒネの反復投与による鎮痛耐性と副作用の問題に対し、我々はモルヒネ代謝物であるモルヒノンを同定し、その親電子性に注目し、以下の成果を得た。1. モルヒノンはKeap1を親電子修飾し、Nrf2経路を活性化、抗酸化や薬剤耐性に関与する遺伝子の発現を誘導した。2. HSP90を修飾し、HSF1経路を活性化、抗アポトーシスに関与する遺伝子の発現を促進した。3. Aktをリン酸化し、CREB経路を活性化、Bcl-2の発現を誘導した。これらの結果は、モルヒノンが酸化還元シグナル伝達を介して遺伝子発現を制御し、鎮痛耐性に関与する可能性を示している。
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