研究課題/領域番号 |
22K15665
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
紙谷 司 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (30816377)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 介護予防 / QOL / 高齢者 / 地域 |
研究実績の概要 |
本研究は、大規模地域コホート研究において、1)QOLドメインの組み合わせ(横断的パターン)、2)QOLドメインごとの1年間の経時的変化(縦断的パターン)を機械学習によって分類し、要介護リスクに寄与するQOLの低下パターンを明らかにすることを目的としている。 2022年度はそのベースライン調査として10月に調査票による悉皆調査を実施した。対象は福島県在住の65歳以上の高齢者のうち要介護認定を受けていないものとした。自治体の協力を受けて住民台帳から対象者を抽出し、調査票を郵送した。またWeb調査フォームも作成し、Web回答が可能な場合はそちらも受け付けた。調査項目には、基本情報、生活習慣(飲酒・喫煙・運動)、QOL尺度であるQGEN10、運動機能、介護認定有無などが含まれた。また、返送があった者について自治体から国保データベースの提供を受けて過去5年間のレセプトデータを収集した。 調査票は約5000名に郵送され、結果として、約3500名から回答があった。現在調査票の回答データを電子データとして入力する作業まで完了しており、解析可能な状態にするためのクリーニングを行っている。またレセプトデータについてもクリーニングを行っており、概ね調査票データとの突合が可能な段階まで完了している。追跡期間中の要介護認定の新規発生状況、及び転居の有無については自治体からデータを提供を受けることで承諾を得られている。また死亡小票を用いて死亡日時、死因等のデータを取得するため申請を進めている。 これらのデータから対象集団におけるQOL、生活習慣、各種疾患の有無等について横断的に分析を行い、特性を明らかにすることが可能となる。また今後要介護の発生というアウトカムとの縦断的な分析にスムーズに取り掛かれることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はベースライン調査となる調査票調査を実施した。これに関しては概ね当初の予定通りである。一方で調査時期が当初の予定よりも遅れて実施することとなった。協力機関である自治体からワクチン接種に関連する業務で多忙であるため実施時期の延期を要望されたことが主な要因である。最終的に同じ福島県内の他の自治体で本研究の目的とも類似する調査を行う予定となっており、そちらで本研究の調査も実施できることとなった。2023年度の調査も10月頃に実施できる方向で準備を進めている。2022年度のデータについても近日中にデータクリーニングも完了できる見込みであり、当初の計画と比べても大きな遅れはなく進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はまず2022年度の調査データのクリーニングを完了し、ベースライン特性の記述を行う。また、QOLに関するパネル調査を行い、2022年度からのQOLドメインごとの変化に関して評価する。調査は2022年度調査に回答し、本研究への同意意思が確認できた約4000名の高齢者と対象に行う。現在調査票を紙媒体及びWebフォーム形式で準備中である。また2022年度の調査以降に発生した要介護の発生状況を自治体から取得し、一つ目の目的である要介護の発生を予測するためのQOLドメインの組み合わせ(横断的パターン)に関する分析を進める予定である。 なお、アウトカムの発生数が不足することで分析の妥当性を損なう懸念もあるため、京都府内の自治体においても同様の調査を実施することを交渉中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度の調査は、当初計画していた自治体とは別の自治体にて行われる調査の一部として実施した。調査票の郵送、データ入力の代行業務に関する費用については別の財源で賄われた為、本研究費を使用する必要がなかった。2023年度からの調査においては調査票の印刷、郵送、回収データの電子化等に係る費用は本研究費から負担する予定である。また京都府内の自治体にも対象を拡大して同様の調査を行う予定にしており、これらについて2022年度の差額分を含めて研究費を使用する。
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