研究実績の概要 |
本研究では、青黛の作用メカニズムに迫ることを目的としており、青黛がサイトカイン産生におよぼす影響を明らかとするため、当科で施行された「炎症性腸疾患を対象とした青黛の有効性・安全性に関する検討(UMIN 000022575)」で青黛内服による加療に良好に反応した潰瘍性大腸炎患者の青黛内服前後での消化管粘膜組織標本を用いてncounter systemを用いて網羅的なデジタルカウント遺伝子発現解析を行った。同様の解析を抗TNFα抗体製剤投与前後の消化管粘膜組織標本で行い、発現の変化について比較を行なった。青黛内服前後では有意な遺伝子変動として遺伝子9種(CYC1,MAPK3,AP1S1,CAPN1,TXN,PRDX2,GSTP1,NFKBIA,ITGAX)が絞られ、AHRやNRF2下流に存在すると考えられる抗酸化に関連した遺伝子群のmRNA発現が上昇しており、抗酸化遺伝子経路を活性化させることが明らかとなった。さらに青黛による治療機序について大腸癌細胞株CaCo-2を使用したvitroモデルにより検討したところ、脂質過酸化に関連したプログラム細胞死(フェロトーシス)を青黛はvitroモデルで抑制した。また治療前後で患者直腸粘膜検体におけるGPX4の免疫染色でフェロトーシス耐性に重要なGPX4が青黛投与により有意に上昇していることを確認した。同結果についてはJournal of Gastroenterology誌に報告した。 また青黛内服前後での腸内細菌叢の変化を検討した。青黛については腸内細菌叢を介しての効果が言われており、既報においては内服前後での腸内細菌叢の変化が報告されているが、今回の検討では有意な変化は認めなかった.同結果については青黛内服1年間の前向きなデータとともにIntestinal Research誌に報告した。
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