研究課題/領域番号 |
22K15669
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
中里 祐毅 宮崎大学, 医学部, 助教 (90885972)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 神経免疫 / 多発性硬化症 / EAE / アナモレリン / グレリン |
研究実績の概要 |
これまで多発性硬化症モデル(Experimental autoimmune encephalomyelitis)マウスに対する生理活性ペプチド グレリンが神経障害に対して抑制的に作用することが明らかにされている(Theil MM et al. J Immunol 2009)。我々は、EAEに対するグレリン受容体選択的作動薬であるアナモレリンの治療効果およびその作用メカニズムについて検討している。 EAEマウス(雄)に対して誘導同日から14日間連日、アナモレリンを腹腔内投与すると、運動障害は改善すること、組織学的に脱髄が軽減すること、CD4、CD8陽性細胞、B細胞の脊髄内浸潤が減少することをこれまでに明らかにしてきた。またアナモレリン投与により病変部脊髄でのTnfa-mRNAの発現が減少することも見出した。またin vitro実験系で活性化CD4陽性細胞にアナモレリンを直接添加するとTnfa-, Ifng-mRNAの発現が減少することを明らかにした。 本年度はフローサイトメトリーを用い細胞内サイトカイン染色を行い、脊髄およびリンパ節でTNFa陽性CD4陽性細胞がアナモレリン投与により減少することを明らかにした。また脊髄内Iba-1陽性細胞数も同治療で減少した。アナモレリンのEAE急性期の治療効果を検討するため、発症期である誘導後14日から7日間同薬剤を投与したところアナモレリン投与群で運動障害スコアは低値を示したが、統計学的有意差はみられなかった。これまでの行動評価は雄マウスのみを用いていたが、雌マウスにEAEを誘導し、アナモレリンを連日投与したところ、雄マウスと同様に運動機能障害は軽減した。以上よりEAEにおけるアナモレリンの抗炎症作用がTNFaを機転とすること、運動障害出現後より早期の投与でその効果が見込まれることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EAEにおけるアナモレリンの治療効果についてTNFaに着目し解析を進めた。またリンパ球以外にミクログリアの解析も行った。EAEにおける早期のアナモレリン投与による効果に加え、急性期の治療的効果についても検証した。また雄のみならず雌マウスについても同薬剤の治療効果の検討を実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
EAEに対するアナモレリンの治療効果については論文化を進める。EAEにおけるdesigner receptor exclusively activated by designer drugs(DREADD)による神経細胞の機能制御実験について作成したDREADD発現AAVを用い、実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬や機器の納期の遅れのため。同試薬、機器を用い実験を継続する。
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