研究課題
2013年に美白化粧品の有効成分、ロドデノール(RD)が白斑症の原因物質として問題視されたが、その毒性を検出するin vitro実験系が未だ確率されておらず、白斑症の発症メカニズムもその詳細は明らかでない。我々はRDに対する感受性が高いメラノサイトの細胞死が、皮膚下層の樹状細胞を活性化し自己免疫を誘導する事で発症すると仮説を立て、h-CLATにメラノーマ細胞層を追加した新しい実験系(h-CLATw/M)を開発した。これにより下層のTHP-1細胞から感作の指標であるCD86分子の発現上昇という形でRDの免疫毒性の評価が可能となり、この系を用いた解析から、樹状細胞の活性化に活性酸素種と細胞外ATPが関与する事を見出している。また、開発したh-CLATw/Mは感作性を有する物質と有さない物質の判別ができる事を複数の物質を用いた解析によって実験的に確かめ、今後の新規化粧品成分または健康成分の感作性試験に有用である事を示している。
2: おおむね順調に進展している
ロドデノールの感作性を検知する実験系を用いて、感作性を有しない物質の実験例として前回の報告までにアスコルビン酸とトラネキサム酸の2例を済ませていた。その後の実験で他の代表的な感作性陰性物質ハイドロキノン、4-TBPのデータを取得し、h-CLATw/Mで陰性である事を確かめ、h-CLATw/Mの系で偽陽性がでない事を確認できた。さらに、開発したh-CLATw/MでSK-Mel-37を主に使用しているが、他のメラノーマ細胞株でも同様の結果が得られる事を確かめ、実験系の汎用性を示した点で順調に進展していると考える。
実験系の確かさを示すには物質の実験例が少ないと考えられるため、追加でいくつかの物質を用いてh-CLATw/Mの系で陽性、陰性を正しく見分けられるかを調べる。
使用金額の端数を合わせる事ができなかったため、次年度使用が生じた。残金は、次年度の消耗品代に加えて使用する計画である。
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