研究課題
認知症患者の急増による医療費の増大が世界的な社会問題となっている。認知症問題への対応として、早期診断と早期介入の重要性が指摘されている。しかしながら現状、認知症の有効なスクリーニング法が存在しないため、早期診断が困難な状況となっている。この課題を解決するため、申請者らは視線検出技術(アイトラッキング法)を利用した全く新しい認知機能評価法を独自に開発してきた(特許第6867715号:Oyama et al. Scientific Reports 2019)。視線動向の解析から被検者の認知機能を短時間で客観的にスコア化することができる画期的なシステムであり、従来の問診法による認知機能スコアと高い相関が得られることを既に確認している。本研究では、このアイトラッキング式認知機能評価法の潜在的な有用性をさらに高める技術開発を行い、より早期の患者(軽度認知障害:Mild Cognitive Impairment(MCI))における認知機能の変化を高精度に捉えることが可能なシステムを構築する。また、申請者が所属する大阪精神医療センターにて実施している健常~MCIを主な対象としたもの忘れリスク外来において、本法の精度検証と有用性の実証を目指す。本研究では主な開発要素を、A:アイトラッキング式認知機能評価法を用いた軽度認知障害(MCI)の診断能の評価、B:アイトラッキング式認知機能評価法による認知症発症予測(予後予測)の検証、C:AI機械学習を用いたMCI診断・予後予測アルゴリズムの開発、に分けて進めている。R4年度は主に、A~Cの基盤となる臨床データの収集をもの忘れリスク外来において実施し、約70症例のデータ収集を達成した。
2: おおむね順調に進展している
予定していた臨床データ収集の症例数を概ね達成出来たため。
当初の予定通りに研究を実施する。
コロナ感染やスケジュールの都合により、予定していた学会参加が叶わなかったものが数件あった。また、予定していたアルバイト雇用が被雇用者の都合により叶わなかず、この分の作業は自ら行うことで対応した。論文作成に時間を要したため、論文作成・出版費用を翌年度に持ち越した。これらはいずれも、R5年度に同様の目的で使用する予定である。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Dementia and Geriatric Cognitive Disorders.
巻: - ページ: -
10.1159/000529915
Fluids and Barriers of the CNS.
巻: 19 ページ: 1月15日
10.1186/s12987-022-00331-1
https://pmc.opho.jp/kokoro/t1-2.html