研究課題/領域番号 |
22K15708
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村田 尚 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90849522)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | NETosis |
研究実績の概要 |
先行実験でNMOSD患者血清では好中球由来のcell-free DNA濃度が上昇していたことから、NETosisに着目した。健常者ないしNMOSD患者血清で健常者好中球を刺激、NETosisを誘導し、それを固定せずにSytox-greenでの染色、あるいはNeutrophil ElastaseのELISAでの測定にて評価したところ、NMOSD患者血清刺激群でNETosisは誘導されていることが示された。これらの結果から、NMOSD血清がNETosisの誘導因子を有することが示された。AQP4抗体がNETosisを惹起できるかどうかを検討しているが、患者由来のrecombinant AQP4抗体は好中球におけるNETosisを誘導しなかったことから、NMOSD患者血清においてAQP4抗体以外の因子がNETosisを誘導することが想定された。 また、アデノシン受容体は、好中球のcyclic AMP形成を誘発し、過剰なNETosis誘導を制御することが報告されている。さらに、ホスホジエステラーゼ阻害剤であるジピリダモールは、アデノシンの細胞外濃度を上昇させ、cAMPの分解を阻害することが報告されている。NMOSD患者血清によるNETosis誘導がジピリダモールで薬理学的に抑制できるかどうかを検討するため、NMOSD患者血清で刺激した好中球をジピリダモールの存在下および非存在下で培養を行った。その結果、ジピリダモールで処理すると、SYTOX green陽性細胞が有意に減少、Neutrophil Elastaseの誘導の阻害、いずれも見られた。 これらのことからNMOSD患者血清はNETosis誘導能を有し、ジピリダモールによって薬理学的介入が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、NMOSDにおける好中球がtype1-interferonを誘導する機序の解明としてNETosis誘導能を多面的に評価できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続きNETOsis誘導能の探索を行う。既報によるとNMOSDにおけるNETosisの誘導因子のcandidateは数十種類を下らない。IFN signatureが亢進している患者群を中心に、プロテオミクス解析を行うことで、NMOSD特異的な誘導因子の探索を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定と異なり、研究が順調に進んだため、追加試薬の購入費用が最小限ですんだため、次年度使用額が生じた。また、コロナ禍により患者サンプル収集に多少の遅延が生じており、今後患者サンプルを収集し、プロテオミクス解析を行っていく。
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