研究課題
若手研究
多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)では血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)の破綻が病態に関与しているが,患者サンプルのアクセスが困難であることで研究が進んでいない.本研究では,iPS細胞を用いて患者由来BBBモデルを作製することで,BBB破綻が直接的にMS病態に関与することを示した.また,MSでのBBB破綻に関わる候補分子を同定し,その機能解析を実施した.
臨床神経学
BBB破綻が直接的にMS病態に関わることを示した本研究成果は,これまでの免疫細胞を主体としてきたMSの病態理解とは全く別の,BBB破綻を中心とした病態解明,創薬標的の確立につながる.また,患者のBBBをin vitroに再現できることから,患者由来モデルはBBBを強固にする治療標的のスクリーニングとしての活用が期待される.BBBの破綻はMSのみならず,認知症をはじめとした数多くの神経疾患で共通して観察される現象であることから,その学術的・社会的意義は極めて大きい.