研究課題/領域番号 |
22K15720
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田港 朝也 近畿大学, 医学部, 助教 (70894690)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脊髄小脳失調症36型 / 脊髄小脳変性症 / ノンコーディングリピート病 / 筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭型認知症 / 神経変性疾患 |
研究実績の概要 |
脊髄小脳失調症 (SCA) 36型はNOP56遺伝子イントロン領域のGGCCTGリピートの異常伸長を原因とする神経変性疾患で、GGGGCCリピート異常伸長を原因とするC9ORF72関連筋萎縮性側索硬化症/前頭側頭型認知症 (C9-ALS/FTD) と同様、ノンコーディングリピート病の一種である。その他のノンコーディングリピート病と同様に、異常伸長GGCCTGリピートRNAはRNA fociと呼ばれる凝集体を形成し、また非古典的なリピート関連AUG非依存性翻訳(RAN翻訳)を介したポリペプチドを産生することが明らかになりつつある。しかし未だSCA36を模した動物モデルには乏しくその病態はほとんど未解明である。またSCA36は運動失調症に加えALSのような運動ニューロン障害を呈する特徴的な臨床像を持つが、欧米において最多の家族性ALS/前頭側頭型認知症であるC9-ALS/FTDとは一塩基のみ異なるGGCCTGリピート配列の異常伸長を原因とする。SCA36とC9-ALS/FTDの臨床所見上、遺伝子変異上の類似性から、SCA36の病態メカニズムを解明することは、SCAの治療に繋がるだけでなくALSの病態メカニズム解明や治療法開発へと繋がる可能性がある。 本研究ではSCA36ショウジョウバエモデルを新規に樹立し、同モデルを用いたin vivoスクリーニングを行うことで病態関連分子を同定する。また同定した分子がSCA36病態に与える影響を解析し、C9-ALS/FTDショウジョウバエモデルに与える影響と比較することでSCA36およびC9-ALS/FTD病態の共通点や相違点を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々はSCA36病態を解明するため、遺伝学的解析に適したショウジョウバエモデルを樹立した。SCA36ショウジョウバエモデルは明瞭な複眼変性を呈し、SCA36患者と同様にRNA fociを形成しておりさらにRAN翻訳産物であるポリペプチドを検出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は同モデルを用いたin vivoスクリーニングを行い、病態関連分子の同定を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症が社会に蔓延した影響で申請者の大学院博士課程学位取得が遅れ、その影響で科研費の交付が遅延した。また当該研究の進捗にも遅れが認められるため。未執行額は、試薬購入や変異体遺伝子を有するショウジョウバエ購入に使用する。
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