研究課題/領域番号 |
22K15723
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
鹿野 耕平 旭川医科大学, 医学部, 客員助教 (10835135)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨格筋再生 / 毛細血管周細胞 / Ninjrin1 / サルコペニア / 神経再生 |
研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究の成果について、交付申請書に記載した研究目的と研究実施計画に基づいて記載する。当該年度では目標3に記載した「CapSCを含むPCのNinj1が骨格筋組織の再生・維持における役割を明らかにする」を目標に実施した。 【方法】PCsに発現しているNinj1をTamoxifen処理により特異的にノックアウト誘導するマウス(NG2-CreER/Ninj-Floxp)を用いた。対照マウスとして、NG2-CreERマウスにTamoxifen処理を施した群とTamoxifen処理を行わない群を用いた。Tamoxifen処置後に下腿のCardiotoxinによる筋挫滅を施行した。筋挫滅後3週間後にヒラメ筋組織を摘出し、HE染色による組織学的解析を行った。ヒラメ筋の短軸断切片を作成し、ヒラメ筋線維それぞれの断面積を計測した。 【結果】NG2特異的にNinj1を欠損させた群でNG2特異的にNinj1欠損させなかった群(NG2-CreERにTamoxifen処理群またはNG2-CreER/Ninj1-FloxpマウスにTamoxifen処理しなかった群)に比べヒラメ筋断面積の減少傾向が見られ、ヒストグラムでは小径の筋線維が増加した。さらに再生した筋線維に特徴的な中心核(健康な筋線維または成熟した再生筋線維では核は筋細胞膜付近に局在するが、早期再生筋線維では核が筋線維に中心部に位置する)がNG2特異的にNinj1を欠損させた群では他の群に比べ増加傾向であった。 【考察】NG2特異的にNinj1を欠損させたことで筋挫滅後の再生筋線維断面積が減少したことからNinj1がNG2陽性細胞による筋線維の再生に寄与している可能性が示唆された。さらに中心核を持つ筋線維が増加していたことから再生筋線維の成熟化にもNinj1が寄与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究は交付申請書に記載した研究実施計画に基づいて計画的に実施されている。当該年度は交付申請書に記載した研究目標3の研究計画を実施することができた。さらに当該研究における一部の成果は当該年度に論文化されたNG2-positive pericytes regulate homeostatic maintenance of slow-type skeletal muscle with rapid myonuclear turnover.T.Tatsukawa, K Kano, et al. Stem Cell Res Ther. 2023.に貢献した。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度において当該研究ではNG2陽性細胞のNinj1が骨格筋組織の再生・維持における役割について明らかにしてきた。研究実施計画に基づき以下の計画目標ついての研究を実施していく。 目標 Ninj1は、CapSCsの神経再生および血管形成に関与するか明らかにする。 神経分化能および血管分化・形成能の評価; 目標1で調整したCapSCsについて神経分化能またはゲル上培養での血管分化能を免疫染色(S100、βⅢtubulin、CD31、NG2など)により評価する。また実験1と同様にNinj1を抑制または強発現の効果を評価する。 後根神経節 (DRG)とCapSCsとの共培養評価; CapSCsとDRG神経組織を共培養させ、血管および神経軸索伸長をライブイメージング(タイムラプス)にて観察し、CapSCsによる神経軸索伸長促進効果を評価する。なお、神経軸索観察のため、神経軸索が緑蛍光するThy1-YFPマウスからDRGを調整する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたが、当該研究者の今年度経費の使用状況概ね良好であったと考える。その理由として当該年度実支出額の金額は当該年度の直接経費95%以上を実験に充てることができた。しかし前年度繰越金に充る支出額が当該年度の実験に費やすことができなかった。この状況踏まえ来年度は計画的に使用するように計画している。
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