• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

オートファジー障害による新規ALS発症機序の解明と治療薬の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K15724
研究機関東京大学

研究代表者

成瀬 紘也  東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20898241)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード筋萎縮性側索硬化症
研究実績の概要

本研究では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症に関与する新規のALS関連遺伝子の同定とそれらの遺伝子のバリアントが寄与する具体的なALS発症メカニズムを解明するとともに、病態に基づく治療薬の開発を目指している。当施設で収集した孤発性ALSおよび家族性ALS症例において、特に発症後に急性の経過を示す症例や若年発症の症例など、特徴的な臨床病型を呈する症例に着目して、遺伝子解析を実施した。同時に継続的に収集してきたALS症例に対して、全エクソンシーケンス解析や全ゲノムシーケンス解析などによる網羅的ゲノム解析情報を駆使し、ALS関連遺伝子を同定するための変異解析を実施した。
実際に同定したオートファジーに関連する遺伝子とそのバリアントについて、新規バリアントのALS発症に関わる病原性評価を実施した。オートファジーに関わるパスウェイと検出されたバリアントとの関連性や、そのパスウェイの障害からALS発症へ至るメカニズムの確立を目指し、遺伝子・細胞モデルによる機能障害性の評価のための実験準備を整えた。継続的に収集してきたALS症例の変異解析データに基づき、ALS関連遺伝子のバリアントの有無や病原性の確認など再現性の確認を進めた。
本研究では、ALS症例だけでなく、様々な神経変性疾患の検体収集と遺伝子解析も幅広く実施している。家族性ALSおよび孤発性ALS、さらにはその他の多くの神経変性疾患の症例についても病原性変異を同定した。特に前頭側頭型認知症(FTD) の孤発例において、VCP遺伝子の変異を同定し、その臨床症状と併せて報告した (Kobayashi and Naruse et al.BMC Neurol (2022) 22:406)。これらの成果は、ALSを含む神経変性疾患の病態解明に寄与するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症に関与する新規のALS関連遺伝子の同定とその遺伝子機能が関係する具体的なALS発症メカニズムの解明、そして病態に即した治療薬の開発を目指している。継続的に収集してきたALS症例について、全エクソンシーケンス解析、全ゲノムシーケンス解析などによる網羅的ゲノム解析情報を駆使した変異解析を実施した。実際に同定したオートファジーに関連する遺伝子とそのバリアントについて、新規バリアントの病原性の評価、オートファジーに関わるパスウェイの障害からALS発症へ至るメカニズムの確立、遺伝子・細胞モデルによる機能障害性の評価を実施するための実験準備を整えた。ALS症例だけでなく、様々な神経変性疾患の検体収集と遺伝子解析も実施し、家族性ALSおよび孤発性ALS、さらにはその他の多くの神経変性疾患の症例についても病原性変異を見出した。特に前頭側頭型認知症(FTD) の孤発例にVCP遺伝子の変異を同定し、その臨床症状と併せて論文報告した (Kobayashi and Naruse et al.BMC Neurol (2022) 22:406)。以上より、オートファジー機能のALS/FTDへの寄与も含め、ALSの病態解明に迫る研究成果が得られている。

今後の研究の推進方策

継続的に収集しているALS症例について、全エクソンシーケンス解析、全ゲノムシーケンス解析などによる網羅的ゲノム解析情報を駆使した変異解析を引き続き実施していく。そして変異解析によりALS症例に特異的に同定された、ALS発症に関連すると考えられるオートファジー関連遺伝子などのレアバリアントについて、さらに機能予測や細胞モデルを用いて機能障害性の評価を詳細に行う。そしてオートファジーなどに関わる新規ALS遺伝子およびそのバリアントに関連するパスウェイの障害による、ALS発症の新規メカニズムを確立していく。オートファジーなどの障害からALS発症へ至る機序を遺伝子および細胞・動物モデルで解明することにより、病態に基づくALSの新規治療薬の開発を実現する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Clinical and electrophysiological findings of facial palsy in a case of hereditary gelsolin amyloidosis2023

    • 著者名/発表者名
      Yamakawa Kaoru、Nishijima Hironobu、Kubota Akatsuki、Naruse Hiroya、Baba Shintaro、Fujimaki Yoko、Kondo Kenji、Toda Tatsushi、Yamasoba Tatsuya
    • 雑誌名

      Auris Nasus Larynx

      巻: 50 ページ: 305~308

    • DOI

      10.1016/j.anl.2022.02.003

  • [雑誌論文] Valosin-containing protein Asp395Gly mutation in a patient with frontotemporal dementia: a case report2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Ryota、Naruse Hiroya、Kawakatsu Shinobu、Iseki Chifumi、Suzuki Yuya、Koyama Shingo、Morioka Daichi、Ishiura Hiroyuki、Mitsui Jun、Ohta Yasuyuki、Tsuji Shoji、Toda Tatsushi、Otani Koichi
    • 雑誌名

      BMC Neurology

      巻: 22 ページ: 1~6

    • DOI

      10.1186/s12883-022-02951-4

  • [学会発表] Genetic analysis and role of rare variants in ALS-causing genes in the Japanese ALS series2022

    • 著者名/発表者名
      Hiroya Naruse
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第65回大会
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi