研究課題
本研究は、健常高齢者を対象として、アルツハイマー型認知症の血液バイオマーカーの測定と安静時機能的MRI(rsfMRI)解析により、認知機能の維持に関連する画像特徴を見いだすことを目的として実施した。バイオマーカーは免疫沈降-質量分析(IP-MS)法を用いて測定した血液中のAβ関連ペプチドの比より算出したComposite biomarker (CB)と、Quanterix社のSimoaを用いて測定したp-tau181を検討に用いた。認知機能が正常かつCBが正常であった群を健常コントロール(NC)群、認知機能は正常だがCBが上昇していた群を認知予備能(CR)群と分類した。最終年度はrsfMRI画像を用いて両群におけるネットワーク特徴の違いとバイオマーカー値や認知機能スコアと相関を示すネットワーク変化について比較検討した。Seed解析では、CR群において後部帯状回とsalience networkを構成する前部帯状皮質や島皮質との結合の増強をはじめ、ネットワーク変化は結合の増強が主体であった。CBとの相関も同様の傾向で、default mode network とsalience networkのネットワーク間結合の増強や情報処理関連ネットワーク内の結合の増強が示唆され、これらのネットワーク変化は認知機能スコアと負の相関を示した。一方、p-tau181との相関を示したネットワーク変化は結合の減弱が主体であった。これらの結果はCR群における認知機能維持に関連する代償的ネットワーク変化である可能性が示唆されるが、CBとp-tau181において相関するネットワーク変化に違いがみられる点ついては、さらなる検討が必要と考えている。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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