研究課題/領域番号 |
22K15746
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
坪本 真 金沢大学, 附属病院, 助教 (40835906)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | GABAA receptor |
研究実績の概要 |
2022年度は、統合失調症で低下が多く報告されている視覚作業記憶の神経ネットワークを構成する背外側前頭前野(DLPFC)と後部頭頂野(PPC)において、GABA受容体サブユニット6種の発現を定量した。定量には統合失調症患者と対照者のペア20組からの死後脳を用い、それぞれの死後脳のDLPFCおよびPPCの灰白質からRNAを抽出した。各症例から得られたRNAサンプルを用いてGABRA1、GABRA2、GABRA5、GABRB2、GABRG2およびGABRDのmRNAの発現を定量した結果、DLPFCにおいてGABRA1は1.8%減少、GABRA2は3.7%増加、GABRA5は7.7%増加、GABRB2は1.2%増加、GABRG2は2.4%増加、GABRDは7.6%減少、PPCにおいてGABRA1は3.3%減少、GABRA2は1.8%増加、GABRA5は3.0%増加、GABRB2は3.8%減少、GABRG2は5.4%減少、GABRDは19.1%減少していることが判明した。疾患、性別を固定効果、年齢、保存期間、皮質サンプルのpH、RNA integrity number(RIN)を共変量とした共分散分析の結果、DLPFCにおける各遺伝子発現への疾患の影響は6サブユニットすべてで有意性は検出されなかった。PPCにおける各遺伝子発現への疾患の影響はGABRDのみで有意であった。またDLPFCでの共分散分析における性別、年齢、保存期間、皮質サンプルのpH、RINの有意な影響はGABRA1、GABRA2、GABRB2では認められなかった。GABRA5では年齢、pHおよびRIN、GABRG2では年齢と保存期間、GABRDでは保存期間による有意な影響を認めた。PPCではGABRA5のみで年齢およびpHによる有意な影響を認め、それ以外の5サブユニットでは上記共変量の有意な影響を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、視覚作業記憶ネットワークを構成する大脳皮質4領域におけるGABRA1、GABRA2、GABRA5、GABRB2、GABRG2、GABRD、GABARAP、 GPHN、ARHGEF9、SHISA7の発現を20組の統合失調症と健常対照者のペアにおいて計測することを目的としている。2022年度には、これらの症例の脳サンプルが存在する米国ピッツバーグ大学精神科に出張して各領域からRNA抽出用のサンプルを準備する予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりできなかった。そこで、ピッツバーグ大学精神医学部門の共同研究者に依頼してDLPFCおよびPPC のRNA抽出用のサンプルを準備してもらった。それを空輸し、RNAの抽出とPCRを行ったが、サンプルの入手に時間を要したため遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度にはDLPFCおよびPPCにおいて、GABA受容体足場タンパク質をコードするGABARAP、GPHN、ARHGEF9、SHISA7の発現を定量し、統計的に解析する。またピッツバーグ大学精神科に出張し、一次視覚野(V1)、二次視覚野(V2)の灰白質のRNA抽出用のサンプルを準備し空輸する。同領域における6種のGABA受容体サブユニットとGABA受容体足場タンパク質をコードする4種の遺伝子の発現を定量し、統計的に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度には、脳サンプルが存在する米国ピッツバーグ大学精神科に出張して各領域からRNA抽出用のサンプルを準備する予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりできなかった。そこで、ピッツバーグ大学精神医学部門の共同研究者に依頼してDLPFCおよびPPC のRNA抽出用のサンプルを準備してもらい空輸した。そのため予定していた渡航費用を使用しなかった。2023年度にはピッツバーグ大学精神科に出張し、一次視覚野(V1)、二次視覚野(V2)の灰白質のRNA抽出用のサンプルを準備し空輸し、RNAの抽出および定量を行う。そのための出張費用と試薬、人件費に使用する。
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