• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

独自行動試験によるうつ病モデルマウスの多様なうつ様行動の評価とその神経基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K15754
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

遠藤 のぞみ  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90802819)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードうつ病 / モデルマウス / ストレス / 行動試験 / 個体レベル / 分子レベル / 神経行動学
研究実績の概要

うつ病のげっ歯類モデルを使った基礎研究では、主に強制水泳試験や尾懸垂試験をうつ様行動評価の基軸とし、その神経基盤や薬効評価に焦点をあてた研究が展開されてきた。本研究では 意欲の低下やひきこもりなどヒトの臨床症状への外挿性の高い複数のマウスのうつ様行動を独自の行動試験を駆使して検証し、それぞれの行動障害について神経基盤を解明することを目的とする。
うつ病のマウスモデルとして反復社会的敗北(repeated social defeat stress: RSDS)モデルを使用した。一般的なRSDSのパラダイムではRSDS後に攻撃をしたマウスと同系統のマウス(本研究の場合ICR)を提示し、そのマウスに対する忌避行動を測定するが、本研究ではICR提示に加え、自身と同系統のB6に対する忌避行動も測定した。その結果、RSDSを経験したマウスはICRに対してだけでなく、新奇のB6に対しても忌避行動を示した。RSDSを経験していない対照マウスはB6に対して忌避行動を示さないことから、B6に対し高い忌避率を示すマウスはRSDSの経験が無関係のB6に対する社会性行動に影響し、“経験の過度の一般化”が起こっている可能性が示唆される。
次にうつ病の主症状の一つで“意欲の低下”に着目した。本研究では、申請者が独自に改良した effort-based decision-making taskを用い、RSDSによる報酬獲得意欲への影響を評価した。その結果、RSDSを受けたマウスは対照マウス並みに報酬(チョコレート)を取りに行く群と、チョコレートを取りに行くのをやめる群の2群に分かれ、RSDSによる報酬獲 得意欲への影響には個体差があることが明らかになった。また、RSDSの報酬獲得意欲への影響の程度と社会的忌避行動への影響の程度には相関はなく、どの神経回路に影響をうけるかに個体差があることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

4月に所属が異動となり、実験環境の立ち上げに時間を要したため。

今後の研究の推進方策

今後はRSDSの影響の個体差の要因を探るべく、行動表現型の相関する分子の探索を行う。
具体的には関連脳部位の遺伝子発現をRT-qPCRにより定量すること、また血清の生化学的検査を行い、全身的な変化を検証する。

次年度使用額が生じた理由

所属の異動により研究の開始に遅れが生じたため。元の研究計画に沿い、随時研究を進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 社会的飼育がマウスの社会性に与える影響およびその評価方法2022

    • 著者名/発表者名
      遠藤のぞみ
    • 雑誌名

      LABIO21

      巻: 86 ページ: 8-9

  • [学会発表] Effects of repeated social defeat stress on effort-based decision making in mice2022

    • 著者名/発表者名
      M. Nishi, N. Endo
    • 学会等名
      Neuroscience 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] マイクログリア由来BDNFの過剰発現は発達期の社会脳形成を妨げる2022

    • 著者名/発表者名
      小森崇史, 岡村和哉, 池原実伸, 井川大輔, 山室和彦, 山内崇平, 鳥塚通弘, 高田涼平, 森祐貴, 萱島善徳, 石田理緒, 遠藤のぞみ, 齋藤康彦, 西真弓, 牧之段学
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会
  • [学会発表] メトホルミンはBTBRマウスにおける自閉症関連行動と内側前頭前野の興奮性/抑制性バランス異常を改善する2022

    • 著者名/発表者名
      池原実伸, 山室和彦, 岡村和哉, 法山勇樹, 遠藤のぞみ, 杉村岳俊, 西真弓, 齋藤康彦, 牧之段学
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会
  • [学会発表] 反復社会的敗北ストレスがマウスの報酬獲得意欲に与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      西真弓, 遠藤のぞみ, 杣山奈実
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi